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牧場だより「継・いのち」

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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第235号:令和2年度の富士アニマルファームを振り返って

2021/3/26 更新

富士アニマルファーム 助教 萩田 祐二朗

 桜の花が咲き始め、春の訪れを感じております。昨年4月より本農場で勤務を開始し、早いものでもう1年が経過しようとしています。ここで、富士アニマルファームの4つの指針、『運営』『教育』『研究』『社会貢献』について、今年度の活動を振り返ってみようと思います。

【運営】

 今年度はコロナウイルスの影響もあり、例年通りに北海道からの導入牛が購入できないという事態が懸念されましたが、獣医学科・動物科学科及び施設管理課の皆様のご協力で滞りなく牛群の更新をすることができました。診療事故に関しては、乳牛・繁殖肉牛共に順調で、成牛の死亡頭数はおらず、出荷乳量及び生体販売頭数も増加する見込みとなっております。これはひとえに、牧場スタッフの日頃の管理の賜物です。繁殖成績に関しては、本学獣医学科の産業動物臨床学研究室の方々による定期健診により昨年度の成績よりも目に見えて向上しております。そのため、来年度は更に分娩頭数が増えることが予想されます。死亡事故等を起こさないように、より一層気を引き締めて勤務にあたりたいと考えております。

【教育】

 残念ながら今年度に本農場を利用した実習は動物科学科の人工授精講習会のみでありました。人工授精講習会については、牧場での実地は例年に比べ短時間になってしまいましたが、学習意欲あふれる学生が来てくださり、とても充実した講習会であったと記憶しております。これは毎年講習会を開催されている動物生殖学教室・牛島教授が辣腕を振るい、短い時間でも学生が理解しやすい様ご指導なさった結果かと思われます。来年度の実習については未だ不明瞭の段階ですが、良い実習を実施できるように、動物たちの日々の管理を徹底していきたいと思います。

【研究】

 今年度、獣医学科の産業動物臨床学研究室及び獣医薬理学研究室、獣医保健看護学科では微生物・感染症学研究分野、動物科学科の動物生殖学教室が本農場を利用して研究を行っていました。コロナ禍により人員確保、移動が困難になる中での今年度の研究は、大変な苦労が伴ったものでした。それでも、教員の皆様方の創意工夫により研究が継続されたのは、ひとえに研究者としての熱意・情熱に他なりません。是非、来年度以降も変わらぬ熱意をもって、畜産業発展のために研究に没頭して頂きたく思います。本農場は、運営・教育及び研究とのバランスを考えねばならず、ご期待に添えない場合もあるかと思いますが、大学並びに畜産業発展のために尽力させて頂きます。

【社会貢献】

 繰り返しになりますが、今年度はコロナ禍の影響で誘致などが困難であったため、その点においては社会貢献の役割を果たすことができませんでした。しかしながら、生産物の流通は変わらず可能であったため、例年通り河口湖チーズ工房様への牛乳の提供は滞りなく行うことができました。本農場はエアーシャーやブラウンスイスなどの一般の農場ではあまり取り扱ってない品種を飼養しているため、その個体乳を提供しています。提供された個体乳は、河口湖チーズ工房様でチーズに加工し、店での直接販売や、ふるさと納税の返礼品として利用されています。来年度も引き続き牛乳の提供を行い、更に、人の移動が緩和された際には、本農場でどのような社会貢献ができるかを検討していきたいと思います。

 以上の様に、今年度は一にも二にもコロナウイルスの猛威により、活動が制限されてしまった1年でした。しかし、その中でも、本学及び社会に貢献するために、様々なことを考え、考えさせられた1年でもありました。コロナウイルス感染は未だに収束の目処が立っておらず、そのことを踏まえて行動しなければなりません。研究機関として、また一生産農場としてその役割を全うすることができるように、今後も研鑽してまいります。

 最後に、本学に40年間勤務し、牧場を支え続けてくださった吉村先生が、今年度を最後に退職されます。先生が農場ひいては酪農業を通じて培われた労働・経営哲学は大変興味深く面白いものであり、また、先生ご自身の人徳、人望も相まってとても魅力的な方でありました。そんな先生が来年度から牧場に居られないのは、牧場にとって大きな損失でありますし、大変寂しく感じます。来年度以降、吉村先生の育てた富士アニマルファームを、より一層発展させるために邁進していきたいと思います。