家畜人工授精師講習会では、学内での学科講義とともに、食肉処理場由来のウシ・ブタ卵巣を用いて卵子の吸引、卵子の品質評価、体外受精、体外培養の技術習得に関する実習が行われました。富士アニマルファームでは発情鑑定や家畜審査、直腸検査、注入操作などの実習に加え、実際に静岡県畜産技術研究所の獣医師に生体から受精卵を採取していただき、その後の受精卵処理を行いました。
実習の中で、受精卵の操作は戸惑うことばかりでした。キャピラリーを作製することすらうまくいかず、操作中に卵子をなくしてしまうこともありましたが、講習会の終盤には、ある程度の自信を持って卵子操作できるようになりました。作出した体外受精卵の多くは発生途中で退行してしまいましたが、それでも最終的に胚盤胞を作出することができました。大きな達成感を感じたことが本講習会の中で印象に残っています。このような達成感が仕事へのやりがいに繋がるのだと感じましたが、自らが作出した受精卵を受卵牛に移植して子牛が生産出来れば、きっとこれ以上の感動を味わえるのだろうと思いました。
私は牛の生産現場を応援する仕事に就くので、本講習会で実力不足と感じた点を反省して、今後も技術習得・習熟に励んでいこうと思います。最後になりましたが、講習会を無事修了できたのは本講習会に携わっていただいた先生、講師の方々そして同期の受講生のおかげと感謝しています。ありがとうございました。
家畜人工授精・体内・体外受精卵移植の資格取得のため講習会に参加しました。私は本学の獣医保健看護学科の卒業生で、卒業後は栃木県足利市にある長谷川農場の畜産部門で4年間働きました。今年の5月からは富士アニマルファームで学びながら働いています。前職ではお肉になる牛の飼育管理をしていました。その中で牛から命との向き合い方について学ぶ機会に触れ、食で人の健康を支えて笑顔にできる生産者という仕事に惹かれるようになりました。畜産現場は体力仕事という側面があることから、将来を考えたときに生産現場で長く働くことの難しさを感じていました。そんな矢先、資格を取得することで自分ができることの幅が広がり、今後のキャリア形成に役立つと思い、受講することに決めました。
講習会では卵巣から採取した卵子を体外受精させ、作出した受精卵を毎日観察しました。学外から参加した受講生は日常業務の中で卵子操作に精通しているためでしょうか、卵巣から採取される卵子数も多く、受精卵の発生や品質にも優れていて、改めて卵子操作のスピードと正確性が求められる仕事なのだと感じました。
受精卵を生産する一連の過程には、徹底した無菌操作、温度や時間などを正確に守ること、素早くそして丁寧に扱うことが求められ、全ての条件が揃ってはじめて品質に優れた受精卵を生産できます。受精卵は直径約0.1mmという肉眼でははっきりとは見えない大きさですが、これが将来800㎏~1トンの大きさの肉牛に成長します。私は現場で牛が成長していく姿を見ることに喜びと遣り甲斐を感じていますが、受精卵も同じように丁寧に扱うことで成長(発生)してくれると悟りました。
最後になりますが、本講習会を修了できたのは背中を押していただいた百田先生はじめ、味戸牧場長、萩田先生をはじめ本学のお力添えのおかげです。また受講期間中の業務を支えてくださった富士アニマルファームの牧場職員の方々に心から感謝申し上げます。
私は、家畜体内・体外受精卵移植師の資格を取得するため、日本獣医生命科学大学で開催された家畜人工授精師講習会に参加させていただきました。
大阪府の酪農ヘルパーとして搾乳をする日々でしたが、今年1月から転職して大阪府で畜産農家の繁殖管理と体外胚の生産をしている会社に勤めています。主な業務は転職を機に数年ぶりに再開した人工授精と、生体卵巣から卵子を採取(OPU)した後の検卵作業を行っています。顕微鏡での卵子の捜索技術などはまだまだ不慣れで未熟ですが、色々とご指導を頂きながら日々努力を続けています。講習では普段自分が行わない卵子の成熟培養や媒精、作出した受精卵の品質評価、さらには凍結保存といった一連の作業を行いました。社内でラボを担当されている方々がどんなに難しい仕事をしているのかを再認識する貴重な体験になりました。と体の子宮や実習牛を用いて人工授精用の注入器を子宮頸管に通す実習では、同じ受講生にコツを伝えることで、もう一度自分の手技を振り返ることができました。
今後は今回の講習会で教えていただいた卵子の処理や受精卵の品質評価にもチャレンジしようと思います。繁殖管理では人工授精や受精卵の移植頭数を徐々に増やすとともに、今回の講習会で学んだことを生かして受胎率を上げ、これからも農家さんとの信頼関係を深めていけたらと思います。