【お知らせ】キリン「長次郎」骨格標本の解体について
(更新日2025.01.08)
一号棟2階にて展示されているキリン「長次郎」の全身骨格標本を解体することが決定しました。
【長次郎について】
一号棟には博物館ができるよりもはるか昔からキリンの全身骨格標本が展示されています。長い年月の中でその名前は忘れられていましたが、2020年(令和2年)に当館が行った調査により、その名前が「長次郎」であることが判明しました。
長次郎は1940年(昭和15年)10月に上野動物園で生まれ、1942年(昭和17年)7月に井の頭自然文化園に引っ越したのち、1943年(昭和18年)12月に死亡したキリンです。死亡後は本学(当時の校名は日本高等獣医学校)にて解剖され、4年以上の歳月を経て骨格標本となりました。
長次郎の両親は日本で初めて繁殖に成功したキリンです。長次郎より先に同じペアから3頭のキリンが生まれましたが、子どもたちの標本は長い歴史の中で行方がわからなくなっており、長次郎の骨格標本は現存する日本の動物園で生まれたキリンの標本としては最も古いものであると言えます。
【解体の経緯】
長次郎の骨格標本が完成した当初は解剖実習場と呼ばれた校舎に置かれていましたが、校舎の解体に伴い1968年(昭和43年)に一号棟の2階に移され、57年間にわたり展示され続けてきました。
長次郎の展示場所は三方をガラス窓に囲まれているのですが、紫外線や高温は標本の劣化に繋がります。また、むき出しの状態で置かれ続けているため、ホコリなどによる汚れが著しい状態となっています。2023年(令和5年)には組み立てに使用している金属の劣化が指摘され、緊急措置として頭部の補強工事を実施したものの、その他の部位の改善には至っていませんでした。
当館では、劣化の進行や倒壊の危険性を考慮し、今回、長次郎の骨格標本を解体することを決断しました。
【今後について】
解体することで、骨格標本を安全に保管できる場所に移動することができ、また標本のクリーニングが可能となります。
さらに、組立状態ではできなかった計測やサンプルの採取といった研究での活用や、パーツごとの展示も可能となります。
「解体して終わり」ではなく、キリン「長次郎」の存在を後世に伝えるため、博物館として最大限の努力をしていきたいと考えています。
【長次郎の見学について】
入試に伴う臨時休館や解体作業の都合により、現在の長次郎の姿を見ることができるのは1月16日(木)までとなります。
ぜひ、解体前に長次郎に会いにご来館ください。
※博物館の見学には事前のご予約が必要です。「来館案内」ページをご確認の上、「個別見学予約フォーム」より3営業日前までにご予約をお願いいたします。
【お問い合わせ先】
日本獣医生命科学大学 付属博物館
解体前の長次郎の姿