阿片 俊介 さん
獣医学部 獣医保健看護学科 2011年3月卒業
勤務先 クロス動物医療センター
私は関東に8病院あるクロス動物医療センターグループで、統括愛玩動物看護師長として看護師部門の運営に携わっています。主な仕事内容は、診療補助や手術助手、入院看護などの看護業務はもちろん、シフトの調整や各病院への愛玩動物看護師の配置なども担当しています。また、愛玩動物看護師の教育プログラムや評価制度、業務マニュアルの作成など看護師部門の運営にかかわる業務も行っています。グループ病院ならではですが、新規動物病院の立ち上げに携わることも多く、責任は大きいです。しかし、やりがいのある日々を過ごしています。現在は、統括愛玩動物看護師長という立場から愛玩動物看護師が長く活躍できる病院を作りたいという思いで、様々な働き方やキャリア形成ができる組織づくりのために日々試行錯誤しています。まず、収入についてです。私自身、動物用医薬品販売代理店の営業職から動物病院への転職の際に、収入面において苦戦した経験があります。今は愛玩動物看護師の働き方も多様化しており、専門性に特化することで付加価値をつけたり、企業病院で管理職に就いたりして、自分次第で収入面の懸念を払拭することが出来るようになってきています。また、業種的には男性の愛玩動物看護師はまだまだ大変少ないのが現状です。当グループでも、今では男性の愛玩動物看護師が5名在籍しており、女性の愛玩動物看護師同士で話しにくいことなどの相談を受ける、大型動物の保定時に重宝されるなど、それぞれの動物病院で活躍してくれています。
▲ 働いている動物病院
▲ 阿片さんの仕事風景
実習や研究室活動として大学付属動物医療センターの診療に積極的に参加し、実際の検査や保定など実践的な看護業務を学んだ経験は、入社時期が繁忙期である動物病院業界ではとても役に立ったと感じています。私が所属していた代謝栄養学研究分野では、実際に糖尿病動物の看護を行いました。普段はご飯をほぼ完食してくれるのですが、たまに食べてくれないことがあり、その場合に糖尿病のため、あまりトッピングができない中でいかに食べてもらうかを室員と試行錯誤しました。そういった経験から「食欲がない、薬を飲みたがらない、排泄管理が必要」といった、疾患をもっている動物看護の難しさを学びました。今も動物病院で「より様々な疾患を抱えた」入院動物の看護で悩むことも多いですが、学生時代からの経験は活かされていると感じます。
愛玩動物看護師は国家資格が必要となり、これからますます仕事の専門性や高いレベルの動物看護が求められるようになると思います。それに伴い愛玩動物看護師の働き方や活躍できる場面も多様化していくかもしれません。獣医保健看護学科では幅広い分野の授業があり、志の高い仲間もたくさんいます。ぜひ多くの人とかかわって、様々なことに積極的にチャレンジし、視野を広く持った愛玩動物看護師がたくさん生まれてくるとうれしいです。