卒業生は今 Report

獣医学部/獣医保健看護学科MENU
日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

卒業生は今

前へ戻る

「奄美大島でペット・特別天然記念物等の野生動物診療に携わる」

芳賀 日奈子 さん
獣医学部 獣医保健看護学科 2019年3月卒業
勤務先 ゆいの島どうぶつ病院 愛玩動物看護師

■ 現在の仕事内容について教えてください

 私は、奄美大島にあるゆいの島どうぶつ病院にて愛玩動物看護師として勤務しております。奄美大島は鹿児島と沖縄のちょうど真ん中に位置する島で、2021年には奄美大島独自の生態系が評価され世界自然遺産に登録されました。勤務している動物病院は、家庭で飼育されている犬や猫の一次診療をしている他、鹿児島県から傷ついた野生動物を受け入れる病院として委託・登録されています。そのため、様々な野生動物の治療に関わることがあります。特に印象的だったのは、アマミノクロウサギの治療です。アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島でしか見ることができないウサギの一種で、特別天然記念物に指定されています。近年では保全活動により個体数は増加傾向にありますが、その一方で交通事故に遭う件数も増加しています。私の病院でも交通事故で股関節が脱臼していたアマミノクロウサギを治療するために、世界初となるアマミノクロウサギの大腿骨頭切除術を実施したことがあります。私は愛玩動物看護師として手術の助手にも入り、術後管理から動物園への移管までのお世話を経験しました。野生動物は感染症を持っている可能性や、入院によるストレスで弱ってしまうこともあるため、家庭での飼育動物とは異なる点に配慮しなければいけません。しかし、怪我や病気が快方に向かい、野生にリリースされるときはいつもうれしい気持ちになります。

■ 獣医保健看護学科で学んだことで現在の仕事に生かされていることを教えてください

 卒業後は、動物医薬品やサプリメントの開発会社に就職しました。弊社では、野生動物の保全活動にも力を入れており、その一環として奄美大島で動物病院を経営しています。予想外の配属先でしたが、とてもやりがいを感じこのまま続けたいと思い、今に至ります。学生の頃は、まさか自分が野生動物にかかわる仕事に就くとは思っていませんでした。その点では、日獣のカリキュラムで動物に関する幅広い知識を学ぶことができて良かったと思います。現在の仕事で関係する「野生動物」についても学生の時はあまり興味を持っていませんでしたが、授業や実習で得た知識や調査経験がとても役に立っています。

■ 在学生や受験生の方たちへのメッセージをお願いします

 私は動物が大好きで、将来は漠然と動物にかかわる仕事に就きたいと思い、獣医保健看護学科に入学しました。入学前は「動物看護師の学科」というイメージでしたが、実際に入学してみると畜産・野生動物・海洋生物・公衆衛生など、動物にかかわるすべてを学べるような環境が整っていました。学生は、その中で興味のある分野を見つけることができると思います。そして、愛玩動物看護師の育成はもちろんのことですが、「動物のスペシャリスト」になれる大学だと感じています。在学中はなかなか気付きにくいですが、学んだことで無駄だったことはなくすべて今の自分に繋がっていると思いますので、たくさんの講義や実習に参加することをお勧めします。また、ゆいの島どうぶつ病院では随時実習を受け入れております。日程の相談も可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

▲クロサギのレントゲン撮影時

▲アマミノクロウサギ給餌の保定

▲シロハラクイナの保定