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「この一冊」 図書のご紹介

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キッコーマンのグローバル経営
茂木友三郎著
生産性出版

キッコーマンのグローバル経営 -日本の食文化を世界に-

茂木友三郎著 生産性出版(2007年10月)
2008/07/16更新 200807号
<企業が存続し続けることの意義>

日本食はいまや世界に冠たるものになった趣があるが、しょうゆ醸造の第一人者キッコーマンは50年以上も前の1957年にアメリカに進出している。江戸時代、千葉県野田に創業を開始して以来、その歴史が300年を越えるというこの老舗企業はグループとして、売り上げの4分の1を、営業利益の50%以上を海外から得ている。まさにれっきとしたグローバル企業で、この書の著者である、同社の取締役会長でCEOの茂木友三郎氏は、日本食文化の象徴的存在の一つであるしょうゆを海外に広めた立役者である。

今でこそ国内市場経済化と世界に目を向けたグローバル化への対応が各企業にとって急務となっているが、氏は一貫してグローバルなものの考え方で経営理念を追求してきた。国内市場で頭打ちになったしょうゆ消費市場を海外に求め、50年前にアメリカ進出を図ったのもまさにグローバルな思考で時代を先取りしたものである。この書はしょうゆを世界に広めていくハードな道のりを、その豊富な経験に基づき、気負いなく平易に語っていて、一気に読み進めることができ、経済活動に参入していく者に一つの厳粛な道を示している。

終身雇用、年功序列の一大ファミリーを築き上げた典型的日本企業が、激変する現実の市場経済の中でどう生き延びていくか。それをいち早く画策し、古き良き伝統を残しつつ、そのおっとり体質から、企業存続のための挑戦的な体質への切り替えを、氏は断行していくが、なお企業活動にあって、もっとも重要な資源は人材であり、これは日本でもアメリカでも変わりないとする。そしてこの思念もまた、そのグローバルな考えから生まれる。1973年アメリカにおいて、現地生産を決断し、郷に入っては郷に従えのやり方でプロジェクトを推進していくが、現地の社員に対しては、安定雇用の考えを打ち出し、終身雇用、年功序列の制度は採らないものの、レイオフは極力行わない旨を伝えている。

さけては通れない市場経済化とグローバル化の荒波を、日本企業が乗り切っていくには、世界に向け<戦う覚悟>を決めることだと、氏は断言する。グローバルな視点に立って考え、行動し、厳格なルールに則って戦いを勝ち抜き、社員、その家族の生活、また関連する人々の生活を守っていく。また消費者にそれを適正に提供し評価を受ける。利益の追求のみでなく、身を律し、社会的に存在意義のある企業となって、社会との共生を図り永続していかなければならない。かくして氏によれば、最終的には、利益を社会に還元できる企業でなければ存続の意義はなく、物心において社会的に存在価値がなければ、企業は実際生き続けることができないのである。


図書館 事務室長 松渕 昭夫