食のいま
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第10号:「肉料理のある食卓風景②-肉じゃが二刀流-」

 イスラム教(豚肉を食べない)とヒンズー教(牛肉を食べない)の「食」に関する宗教的戒律のことを前号で書きました。日本人にはさらになじみの少ない宗教ですが、ユダヤ教でも豚肉を食べないという戒律があります。

 畜産王国オランダにある国立農業大学(現称、Wageningen(ワーゲニンゲン) University and Research Center)は世界中の研究者が集結して日夜研究を進めているところ。そこに留学中、「佐知子が作った日本食でパーティー」をやろうという計画が勝手に持ち上がりました。そう、みんな日本食が大好きなのです。そして、世界中から集まった食通の研究者たちが言うには、スシ、スキヤキ、シャブシャブは色々なところでもうすでに食べたことがあるから、何かほかのメニューにして欲しいというリクエストつき。さらに、そのパーティーの参加者に一人ユダヤ人研究者がいました。そこで、オランダの主食的食材じゃがいもと牛肉を使った『肉じゃが』を振舞ってもてなしました。評判は上々。「やっぱり、日本食はおいしいね」という参加者全員の感想を聞くことができて嬉しく思ったものです。

 さまざまな調査で、関東以北は豚肉を使った肉じゃがが、一方、関西以南は牛肉を使った肉じゃがが主流であるという結果が出ています。生まれも育ちも関東の私は、普段はもっぱら関東流肉じゃが(じゃがいも+豚肉)を料理して食べますが、オランダでの日本食パーティーの時は関西流肉じゃが(じゃがいも+牛肉)で、世界各国から集まったメンバーのリクエストに応えてパーティーを無事終わらせることができました。