食のいま
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第44号: チョコレート-3/3

ある物質が固体から液体に変化する時の温度を“融点”といいます。脂質の融点は、トリグリセリドという脂質を構成する脂肪酸の構造や組成によって異なります。例えば、炭化水素鎖に多数の二重結合をもつ不飽和脂肪酸で構成された脂質は融点が低く(サラダ油や天ぷら油)、室温でも液体状態です。二重結合が少ない不飽和脂肪酸や二重結合のない炭化水素鎖をもつ飽和脂肪酸で構成された脂質は融点が高く、加熱しないと融けません(バターやラード)。
ココアバターのトリグリセリドを構成している脂肪酸は、飽和脂肪酸:不飽和脂肪酸=2:1という絶妙の組成で、しかも不飽和脂肪酸の炭化水素鎖中の二重結合は1箇所だけしかありません。このことから、ココアバターの融点は人肌に近い温度になります。ところが、固体状態における結晶の種類によって、融点が20〜37℃の範囲で異なるため、口どけがシャープなチョコレートを作るためには均一な結晶を形成しなくてはなりません。そこで、加熱したチョコレート液を“テンパリング”と呼ばれる操作で巧く温度調節すると結晶の揃った、美味しいチョコレートが出来るのです。
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