食のいま
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第45号: 伝統の器を楽しむ食卓風景 -4月-

心ときめく桜の季節につかう漆器与段菓子重(よだんかしじゅう)をご紹介しましょう。数字の四はシとも読み、同音の死を連想するため、四段ではなく与段と書くほうがエレガントですね。表には桜が、それぞれの重の内側には季節の草花が美しく金蒔絵(きんまきえ)で描かれた、まさにひと庭を楽しむがごとくの一品です。
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以前、桜並木に隣接する集合住宅の四階に住んでいたときのことです。眼下に広がる桜の眺めは本当に心華やぐ楽しいものでしたが、友人たちを招くお花見はハラハラすることもしばしばありました。というのも、桜前線が気になって、4月が近づいてくると落ち着かない日々が続くのです。満開直前~満開の、できれば休日、そして、すべての参加者の都合が良い日で、さらに願わくば晴れの日、という幾重もの条件を満たす日程をようやく割り出してホッとしたのもつかの間、直前に雨が降ってアララと気落ちしたり・・・。結局、開花が早くても、遅くても、そして例年通りでも、どのみち落ち着かない気持ちであったのを思い出します。
日程調整の難しいお花見パーティーに用意するお菓子は、まず、日持ちのする干菓子や焼き菓子のダクワーズ(ダッコワーズ、ダックワーズ、dacquoise)です。気象庁の開花宣言の翌日から、これらの「日持ち菓子」を手配します。食品の保存性を表す数値に水分活性(water activity)というものがあります。微生物の増殖は水分活性値が低いほど抑えられ、一般細菌はこの値が0.91以上、酵母は0.88以上、カビは0.80以上で増殖します。干菓子と焼き菓子の水分活性値は練り切りに比べると低く、一週間くらいは日持ちしますので、前もって用意することができます。一方、練り切りは、必ずパーティーの当日か前日に和菓子屋さんに取りに行きましょう。
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今年も、桜づくしのお菓子を楽しみながらお花見を満喫したいと計画しています。