食のいま
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第51号: 豆腐百珍(その1)

昨年度のオープンキャンパスでは、農産食品学教室が「大豆タンパク質の健康機能や豆腐などの食品への利用について」講義と体験実習を行いました。これを機に、読んだ本をここで紹介いたします。
それは「豆腐百珍」といって、江戸時代後半(1782年)に出版された豆腐に関する料理本です。著者は何必醇(かひつじゅん)、いわゆるペンネームで、実際は篆刻家の曾谷学川だと考えられています。
残念ながら原文を読む力はないので原本現代語訳版(福田浩 訳/株式会社ニュートンプレス)で読んだのですが、なかなか読み応えがありました。と言うのも、単なる豆腐の料理法百選かと思いきや、故事来歴や豆腐礼賛の漢詩や文章まで載っており、さらに翌1783年出版の「豆腐百珍続編」(著者は前編と同じ)、そこからさらに5年後の「豆腐百珍余録」(別著者による「豆華集」が改題・出版された)も収録されているのです。
江戸時代の天明から寛政にかけての10年少しの間に(10代将軍・家治~11代家斉の頃)、百珍物と呼ばれる料理本(テーマ素材は鯛、大根、さつま芋、蒟蒻など)が多く出版されたそうですが、その火付け役が「豆腐百珍」だったというのは、当時の人々にとって頭もお腹も満たされる内容だったからなのでしょう。

今回は、豆腐が江戸時代にどれだけ好まれ、どんな料理法があったのか、素朴な好奇心から本を手にしたものの、読み慣れるまでは字面だけで料理法を読んでも「どんな感じの料理かな?」と今ひとつ想像力が追いつかず、紹介されている料理が美味しそうに見えてこない…そこで、現代風レシピを写真付きで紹介している「新・からだ思いの「豆腐百珍」(仲田雅博 著/淡交社)を見比べながら読んでみました。
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