食のいま
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第60号: 食品の機能性―その1.機能性食品表示

  平成27年6月16日に「機能性食品表示」を冠した食品(飲料)が初めて販売されました。新聞やテレビで報道されている様子をご覧になられた方も多いかと思います。6月16日と言えば、壽祥菓子の故事注釈1)に因んだ「和菓子の日」や、「麦とろの日(ム-6, ギ, ト-10, ロ-6)」も気になるところですが、今回は先に記載した「機能性食品表示制度」についてお話したいと思います。


  そもそも「機能性表示食品」とはどのような物なのでしょうか?消費者庁のホームページを見ると、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品」と定義されています。日本では基本的に、食品に対して健康表示を記載することが出来ません。例えば、コラーゲンを沢山含む食品に「お肌ツルツル」と表示すると、薬事法違反になります(場合によっては、不当景品類及び不当表示防止法にも抵触します)。但し、例外として認められる場合があり、消費者庁で認可を受けた「保健機能食品」については、一部の健康表示が認められています。


  これまでの「保健機能食品」には「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」の2種類がありました。「特定保健用食品」はこれまでに数多くの製品が市場に導入されており、お茶、コーラ、ヨーグルト等で皆さんも口にされた経験があるかと思います。また「栄養機能食品」もビタミンやミネラルを含む栄養補助剤(サプリメント)や乳製品が販売されていますので、店頭で見かけることもあるでしょう。


  「特定保健用食品」の場合、商品毎に消費者庁の個別審査を受ける必要があり、「(健康への)寄与成分の特定、含有量の担保」、「ヒトでの効果試験」、「安全性試験」などの項目をクリアするために、開発する企業側は多額の費用(億を超えることも!)と時間を掛けなければなりませんでした。また、「栄養機能表示」の場合には、該当する栄養成分と、健康に対する表示は予め国が定めており、それ以外の機能を謳うことは厳しく禁止されています。


  これに対し、今回新たに設けられた機能性食品表示制度は、消費者庁への届け出が必要なものの、個別審査を受けないため、商品を製造・販売する側にとっては、ハードルが少し低くなったかのように見受けられます。しかし、届出の際には、製品に対する①安全性と②機能性、③生産体制・品質管理、④健康被害の情報、を科学的かつ客観的に証明する書類が必要になるため、企業側にとっては、入念な準備が必要であることに変わりはなさそうです。尚、提出された情報は消費者庁のホームページに掲載されますので、一般消費者が内容を確認することも可能です。


  「機能性食品表示」を記した食品は、国によるお墨付きがない分、商品を選択する私達が積極的に公開されている情報を確認し、自分に必要なものか否か、また販売先の企業(団体)を信用できるのか、などを判断する必要もあるでしょう。


  「賢く選んで、賢く食べる」―私達の食に対する意識と知識が、益々必要になってくる時代になったのではないでしょうか?

注釈1)壽祥菓子の起こりは諸説あり、仁明天皇が御神託に基づいて、西暦848年6月16日に16の数にちなんだ菓子や餅などを神前に供えて、疫病退散、健康招福を祈念したことが始まりであったとする説、あるいは、宋銭嘉定通宝(略称「嘉通=勝つ=縁起が良い」)が日本に輸入されたことを起源とする説などが知られています。何れにしても、6月16日は「壽祥の祝い」と呼ばれ、将軍に菓子を献上したり、庶民が16文分で購入した菓子を食べたりと、菓子に纏わる一大イベントだったようです。

参考資料
林淳一, 「京菓子」, 調理学会誌, 16, 2-9 (1983)
消費者庁ホームページ「食品表示」(http://www.caa.go.jp/foods/index23.html, 平成27年6月20日アクセス)

機能性食品表示は生鮮食品に対しても付けることが可能です。機能性表示食品の原料だけで、写真のような料理を作ることが可能になるかも知れません。