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中野実結さん(応用生命科学専攻 修士1年次)が第47回鳥類内分泌研究会で若手研究奨励賞を受賞しました

 応用生命科学専攻 修士1年次 中野実結さん(動物生産化学教室)が第47回鳥類内分泌研究会(共催 NBRPニワトリ・ウズラ)において、「ニワトリ-ニホンウズラの脳原基移植技術を用いた脳末梢のエネルギー代謝調節機構に関する研究」と題した発表で若手研究奨励賞を受賞しました。

受賞についてのコメント

 2023年12月1日~12月2日に名古屋大学生命農学研究科で開催された第47回鳥類内分泌研究会に参加しました。名古屋大学の敷地の広さに圧倒されながら、農学部の講義室に向かいました。1日目の特別講演は、吉村崇先生(名古屋大学)による「ユニークな動物から明らかになった驚きの季節適応戦略」が催されました。私が普段研究対象にしていない魚類や哺乳類の季節適応に着目されたご研究でした。この結果は、ヒトにおける冬場の心疾患や精神疾患の悪化と紐づけることができ、とても興味深い内容でした。また、「解明したいことに適した実験動物を選択する必要がある」とおっしゃっていたことがとても印象的でした。2日目の一般公演では、鳥類の生命現象について様々な視点からの発表を拝聴し、とても充実した時間を過ごさせていただきました。また、私自身がオンサイトでの研究会にあまり参加したことがなく、緊張しましたが、様々な先生が私の研究に対してアドバイスをしてくださったこと、同世代の素晴らしい研究を拝聴できたことは、刺激となり、自分自身の研究を多角的に考えられる大切な時間を過ごすことができました。

 私は、脳原基移植技術を用いて、孵卵1.5日目に将来脳となる脳原基をニワトリ(ブロイラー)とニホンウズラで相互移植することでみられる各器官における細胞内エネルギー代謝調節の応答性に着目して解析を行っています。脳機能と末梢機能が異種(キメラ)になることで末梢のエネルギー代謝の中心的因子であるAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)が有意に変動しました。また、増体にはAMPKの脱リン酸化の制御が重要であり、AMPKの脱リン酸化を促す因子が存在することが示唆されました。つまり、脳原基移植技術は脳や骨格筋、肝臓などの臓器間ネットワーク機構の解明や器官発達のための代謝制御方法の確立に繋がる技法であることが分かる結果となりました。今後は、栄養素やそれら代謝産物による脳の機能やエネルギー代謝制御メカニズムに着目し、研究を進めていきたいと考えております。また、本発表に対して、若手研究奨励賞を頂くことが出来ました。この賞をいただくことができ、今後の研究に対してより一層身の引き締まる思いです。今後も研究に邁進したいと思っております。

 最後になりましたが、本研究会を主宰されました岩澤淳先生(岐阜大学)、世話人代表の浜崎浩子先生(北里大学)をはじめ、会場となった名古屋大学の皆様、鳥類内分泌研究会の関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

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応用生命科学部動物科学科 動物生産化学教室

動物科学科A-report 教員からのレポート「応用生命科学専攻修士1年中野実結さんが第47回鳥類内分泌研究会で若手研究奨励賞を受賞しました(12月2日)」