図書館MENU

「この一冊」 図書のご紹介

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
image
ホワイトハウス
(National Geographic DVD-VideoシリーズNo.50 1996年)

ホワイトハウス

(National Geographic DVD-VideoシリーズNo.50 1996年)
2009/2/1更新 200902号
「オバマ新大統領就任。
お住まいはペンシルバニア通り1600番地、真っ白い建物です」

当館にアメリカ大統領にちなんだ図書はあるだろうか。
勿論、ある。中公・講談社・岩波の三大新書が揃っている当館だ。”大統領”で検索したらすぐに数冊見つかる(新書は宝庫である)。が、今回はDVD資料をご紹介しよう。

ケーブルテレビは有料だけど図書館はタダなんだから、借りないと勿体ない! このDVDシリーズは「衝突!彗星と小惑星」「地底の神秘」「失われたマヤ王国」「パンダを救え」「豪華客船タイタニックの悲劇」等々、なかなかバラエティ豊かなのだ。

さて、世界一有名な「白いおうち」。

DVD中の言葉を借りれば、そこは歴史と日常性が同居している「不思議な空間」だ。
補佐官や顧問、各国の政治家、ジャーナリスト、電気係やシェフといったスタッフ、そしてファーストファミリーの面々が行き来するホワイトハウスは、住居であり、行政機関であり、更に迎賓館でもあるという極めて特殊な場所なのである。いったい、どのように機能しているのだろうか?

ここでは、クリントンがエリツィン大統領を迎えて晩餐会を開いた、ある1日(ちなみに新国務長官ヒラリーの、ファーストレディー時代も垣間見られる)を中心に語られている。独特のデザート(キャンディーで出来たリボン!)など、観ていてなかなか楽しい。

この館の創建は明治時代。米英戦争で一度丸焼けになっており、焼けた外壁を白く塗って再建したのが名前の由来らしい。DVDには、ケネディなど歴代大統領や、チャーチルを始めとする国賓が次々と登場する。まぎれもない歴史上の著名人たちである。が、同時に、彼らをもてなしたスタッフたちも肉声を添えている。だからそこにあるのは、教科書に載った歴史ではない。ある家を訪れては去っていった、あらゆる人の姿だ。

かつては内部まで誰でも見学できた。が、同時多発テロ後は限られた筋からの予約と事前調査が必要になってしまった。無数にある時計のネジ巻き係まで必要なこの館の見学は、さぞ興味深かったことだろう。残念である。

だから今となっては、これは貴重な映像だ。しかし、この晩餐会もすでに10年以上も前の話である。時は動いている。さて、オバマ大統領はホワイトハウスにどんなエピソードを加えるだろう。例えば…ファースト・ドッグに何を飼うだろうか?

なお、今回の大統領選で俄然アメリカ政治に興味がわいたという方には、1992年の中公新書『ホワイトハウスとメディア』(内容はだいたい、ブッシュ父まで)、そして2004年の講談社新書『アメリカ大統領の嘘』(前ブッシュ政権が中心)をまずはお薦めする。スクープやリークや足の引っ張り合いがてんこ盛りの2冊。おそらくは政治不信になるだろうが、重要なことも学べる。

天下の大統領も嘘をつくらしい。何を信じるかは、自分でよーく見極めないと。


図書館 司書 関口裕子