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「この一冊」 - 図書の紹介- 201018号 | 「ヌレエフの犬」
分類番号は943。
ミヒャエル・ゾーヴァは日本にも熱狂的なファンが多い。当館にこんな本もあるなんて。犬や猫の感動ものは多いけれど、これほど静謐であたたかい一冊を思いつくことができない。マスカラは取ってから読んだほうがいいと思う。
ヌレエフの犬
エルケ・ハイデンライヒ 作:ミヒャエル・ゾーヴァ 絵
三浦美紀子 訳( 三修社 2005年)
2010/12/16更新201018号
ヌレエフとはルドルフ・ヌレエフ。もう亡くなってしまった高名な高名なバレエ・ダンサーである。まだ19歳だったシルヴィ・ギエムを、パリ・オペラ座バレエ団のエトワールに抜擢した人だ。
世界でもっとも軽やかに跳んだ一人であろう。その彼が残した、大きくて怠惰な、薄汚れた感じの、まったく見栄えのしない犬。オブローモフ。
この犬が主人公である。
ページを開いてすぐに、ヌレエフは死んでしまう。
が、オブローモフが彼の元に来たいきさつを読んでいるうちに忘れてしまう。忘れてしまった頃、あらためてヌレエフは逝く。オブローモフをやさしい無名のバレリーナに託して。彼が幸せな生涯をおくり、めでたく天寿をまっとう出来るよう、きめ細かな配慮をしてから。
唯一、傍にいた「遺族」であるオブローモフはお葬式にも参列する。世界中から集まったダンサーや演出家、音楽家、ファンたちが、彼の大きな頭を撫でていった。
この、50ページに満たない小説の殆どは、オブローモフがおくったその後の「余生」である。オブローモフ自身、若くないのだ。彼はヌレエフのおかげで、赤いビロードの縁取りがある毛布をタイ製の黒い籠に敷き、緞子のクッションを枕にしてまどろんで暮らす。
文章は美しいモチーフに溢れている。セーブルの陶器。ブーローニュの森沿いの通りを見下ろすアパルトマン。フランス語。ピアノの音。トウシューズがたてる響き。
うつくしくないのはオブローモフだけだ。
しかし彼を包んでいる愛はやさしい上にもやさしく、オブローモフの賢さはそれを受入れ、やがて彼は、その、ぶかっこうで老いた体(しかも犬)にも関わらず、ヌレエフのように跳ぶ奇跡を手にするのだ。誰にも知られずに。
そしてそれに気づいたバレリーナの、静かな葛藤と愛情が、さらなる奇跡を呼ぶのである。
主要な登場人物は、ヌレエフ、カポーティ、そしてスターになることのなかった老いたバレリーナ。みんな、穏やかで知的、背景も小道具も魅力的だ。だが、そこには常に微かな「死」が漂っているように思える。ビアンカ・ジャガーがくれた首輪、ウォーホールに貰った餌皿といったものひとつひとつまでが、独特の翳を文章に落としている。
にも関わらず、それらが紡ぐのはちょっと信じられないほどのいとしさと、うつくしさだ。この小説はゾーヴァのすばらしい絵と訳者の気品ある文章によって縁取られた、いっぺんの絵である。向かうのが死であっても、なにもかもが変わっていっても、うつくしいものはある。読み終わったあとしばらくは、その輝きがあたりを照らしているだろう。
きょうび、50ページの怠惰な犬いっぴきでそんなことを信じさせてくれるなんて、それはもう魔法にほかならない。今年、筆者がクリスマスに本を贈るとしたら、この一冊である。
来年もいい本にめぐりあえますように。
図書館 司書 関口裕子