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シュウカツの友

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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資源循環型畜産の展開条件

畜産経営経済研究会 編(農林統計協会 2006年)
2009/07/08更新 010号
論文集である。が、『牛乳の未来』や『幸せな牛からおいしい牛乳』を読んだあとなら意外に面白くスラスラ読める。なぜ現在「資源循環」に注目が集まるのか、読むほどに納得でき、純粋に面白かった。
本書には耕作放棄地や休耕地が増大している問題や、鳥獣害、BSE、輸入飼料への過度の依存、畜産における深刻な糞尿問題、増え続ける食品廃棄物問題など、あらゆる切り口から書かれた論文が収められている。その上で、山地や里地放牧の利点、高堆肥センターなどの活用状況、新たに流通し始めた牛乳やアメリカなどに広まりつつある和牛などについて語られるのだが、荒れた休耕地が放牧によって蘇り、幼稚園児などが訪れて地域活性化にもなっていることや、放牧牛の活躍で林業にも好影響があることなど、思わぬ点も目を惹く。
論文集であるから、参考文献の記載が豊富であること。そして各地方の細かな具体例が多いことが本書の最大の利点であると思う。地方における取り組みや状況を知る上でも貴重な一冊である。