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シュウカツの友

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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水族館の仕事

西源二郎・猿渡敏郎(東海大学出版会 2007年)
2009/07/15更新 013号
イリエワニ(大型!)がうようよしているオーストリア北部で、世界中でまだ飼育されたことのない「コモリウオ」を採集する!
幼生から稚エビまで完全育成できたら「ノーベル賞もの」の、イセエビの幼生を観せる!
深海の宝石・ハマダイを生きたまた水族館まで連れて帰る!

それにしても、水族館の飼育係とは、なんと創造性に富んでいるのだろう。地上の30倍の気圧、いや水圧の、真っ暗な海に暮らす生き物を、地上の我々の目の前に生きて泳がせるためには、採集・輸送・展示・飼育すべてに壁がある。彼らは果敢にそれらをひとつずつ、木っ端微塵にクリアしていくのだ。

飼育係に求められるのは、水族に関する知識のみならず、ほかにも潜水技術・撮影テク・船舶操縦免許…だけではなく、語学力・企画力・コミュニケーション力と、いやまったく、一生をかけるに不足はない。水族の保全、自然に関する教育、そして優れたレクリエーションと多様なカオを持つ水族館を支える「飼育係」という仕事を、実際に水族館で働く飼育係や水産学の専門家が書きつくした好著。読むだけでも面白い。なんせ、ふだんは目にすることのできない、水族館のバックヤード・ツァーなのだから。