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大人のための文章教室

清水義範 (講談社現代新書 1738 2004年)
2009/10/16更新 027号
「インパクトの瞬間、ヘッドが回転」しそうになるほど、文章がウマい。大向こうを唸らせるような「名文」ではないにしても、文章のレパートリーはおっそろしく多い。司馬遼太郎の時代物調から、ファンクラブのパンフレット調まで書けてしまう。「あぁ、そうそう、それっぽい」と、感心してしまう作家。それが、本書の著者・清水義範である。
そんな作家がついに出した文章読本。これはおそらく使えます。エントリーシートや小論文対策に。

生まれつき書くのはヘタっぴなんだよぉ、と思いつつ、でももう少しナントカならないものだろうか、と悩む方に本書をおすすめしたい。
「はじめに」にあるが、本書は日記・小説の文章は対象としていない。よかった。手紙や紀行文・随筆向けのアドバイスでもそのまま使える。「最近、印象に残ったことを書け」などという困った小論文もあるのだ。
文章技巧に関しては「接続詞」「文章の長短」「ですます調と、だ・である調」「くだけた文」と、ポイントを絞ってある。さらに著者は、重要なのは「相手にどう読まれるか」ということだ、と強調し、印象をよくする裏技を開陳してくれている。
すぐそこで話しているような文体だから、すいすい読める。それこそ著者は、読むのがめんどくさくなるような文章はどうかなぁ、と、工夫して書いているのだろう。
著者は伝えたいのだ。文章を書くのは楽しい、と。
ブログや、メールをみんな書いているのがその証拠だ。そこにちょこっと「人が読んだとき」という視点が加われば、それだけで文章は変わってくる。
読み手を動かすために書くのだから。
ブログの練習、とでも思って読んで、ちょこちょこ書いてみるのはいかがだろうか。