シュウカツの友

広島県福富町の山里に、そのパン屋はある。
「カントリー・グレイン」―“地場産小麦”を使って焼く“天然酵母”のパンで、知る人ぞ知る名店だと言う。ネットでも買えて、大人気だそうだ。
著者は、そこでパンを焼いている方である。
本書にどどーんと公開されている情報は、本当に、濃い。
小麦粉の基本的な知識や製粉についてや、イースト菌と天然酵母の違い、砂糖や塩・油脂・卵・野菜や卵の役割。肝心のパンの作り方も、種おこしやミキシングから包装まで。出店については材料の目安から原価計算の仕方、店の設備設計まで。すべて惜しげもなく書かれている。脱帽する。
パンづくりには、生き方があらわれる、と書いてあったが、本当にそんな気がする。
こんなパン屋さんが近所にあったらいいなぁ、と思うと同時に。
うちの近所のパン屋さんは、どんなパン屋さんなんだろう、と思ったりする。
お店の見方が、ちょっと変わるのではないだろうか。

将来は自分のお店を持ちたい、パン屋さんをつくりたい、と思う方には、きっと必読の書である。