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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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動物病院で獣医師として生きる
―新時代の勤務医・開業医スタイル―

西川芳彦 (株式会社アイシーメディックス 2005年)
2009/6/17更新 005号
どんな仕事もそうなのだが、獣医さんという職業もホントウに大変である。
患者ならぬ患畜さんは「胃の調子が・・・」とは話してくれない。いきおい、飼い主さんを頼ることになるが、飼い主とて動物語はわからない。懸命にコミュニケーションをとる傍ら、治療する。珍しい動物も増えてきた。その上、経理から清掃、果てはホームページづくり。スタッフを雇うには面接もしなければ。
そして、ペットの異変に気づくのは例えば飼い主の帰宅後や休日が多い。診療時間外ではないか! それを断っていたら成り立たない。診療時間は延びていくだろう。こういう現代の、小動物臨床の現状が書かれた一冊である。
著者は動物病院の開業コンサルティングを専門としており、獣医学科の学生や勤務医の言葉も数多く聞いてきたうえで、この本を書いた。
著者が目指すのは「長期勤務医制度の整った動物病院作り」である。つまり、それだけ今の日本では働き続けるのは難しいということだ。が、開業しても競争は厳しい。
「最寄りの病院に行くのが当たり前」だった時代は終わったのだ。
アメリカの獣医業界の現状も語られる。確かに日本と比べて恵まれた点も多い。

獣医さんになりたい方はぜひ読んでほしい。愕然とするかもしれないが、知れば「これからのこと」が考えられる。キャンパス内には仲間も沢山いる。生かさない手はない。
そう、どんな仕事も大変なことには変わらないのだ。それでもやりたい仕事があるというのは、幸せなことである。