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安全とおいしさの追求
―良い食品を作る会」の試み―

今井亮平 (勁草書房 2004年)
2009/7/1更新 008号
食材や製法にこだわりぬいた会社を集めた本である。
3章に分かれており、第1章は大豆関連(納豆、醤油など)、第2章はうどんや餡や茶葉などあれこれ、そして第3章が酒造だ。
ヤマヒサやひだ千利庵、天盃など、シブい社名が並ぶ。が、連綿と江戸時代からの製法を守ってきた老舗もあれば、ベンチャー企業ばりの店もあって、なかなかバラエティ豊かである。そして、どこの話も面白い。こだわりを持つあまりに製塩会社までつくってしまった漬物屋さん(愛知県・若菜)。アーティストと協力してロゴやラベル、はっぴの色までコーディネイトし、老舗を守り抜く意気込みを見せる酒蔵(兵庫県・西山酒造場)。無農薬の有機オリーブ栽培も始めて地域おこしにまでなった醤油屋さん(香川県・ヤマヒサ)。
こういう会社もまだまだあるのだ、日本も捨てたものではない、とホッとしてしまうような内容だ。調べてみると、どの会社も殆どネット販売をしている。これからは、小さな会社でも幾らでも可能性がある時代だ。海外と取引することだってある。
また、その地にそれを求めて旅行する、という時代でもある。こういう「全国に名を轟かす小さな店」という存在は、どんどんクローズアップされていくんじゃないかなぁ。と言うか、そうやって可能性を切り開いていく人、そして応援する人が次々現れると世の中楽しいし、ほんとうの意味で豊かになるのではないだろうか。
『日本でいちばん大切にしたい会社』という本が売れている。人々の関心が、売り上げや規模だけに向いているのではない、という証ではないか。本書のキャッチコピーにつけた言葉は富久錦(兵庫県)の章にあった。本書をよく表わしているように思い、お借りした。