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ハーズマン日記

水口迅(デーリィ・ジャパン社 2007年)
2009/7/8更新 011号
ハーズマンとは“牛群を管理する人”のこと。
牧歌的な日記をイメージした方は、読んで冒頭からびっくりするだろう。著者は自己紹介を兼ねて、まず「これまでのいきさつ」に触れるのだが、触れるというには大サービスすぎるスタートである。
歌舞伎町でのアルバイト生活、受験やり直し、奥様との馴れ初め、そして現在の牧場に到るまで、まさしく「すったもんだがありました」という感じで、読んでいいんですかホントに、と思いつつ読んでしまう。面白いよー。しかしこれが思わぬ効果をあげている。
牧場での日記が、ものすごくリアルに感じられるようになるのだ。
「デーリィ・ジャパン誌」での連載中から「サラリーマン的な発想だ」という感想が相次いだそうだ。
そうだろう。著者は、牧場以外での経験をたっぷり積んでいる。そして牧場というものに対して、愛情を持ちつつとても客観的だ。現代の感覚からすればきつい労働の実態についても、隠すことなく述べている。
「新規就農のハードルがまだまだ高すぎる」と著者は述べる。が、諦めてしまっているわけでもない。未来もちゃんと語っているのだ。
とにかく、ぐんぐん最後まで読ませてくれる。