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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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アメリカ動物診療記
-プライマリー医療と動物倫理-

西山ゆう子 (駒草出版 2008年)
2009/7/8更新 012号
早々に、当館の人気本になりそうな予感のする本である。
日本で獣医師資格を取り、渡米しアメリカで獣医となった著者。『小さな命を救いたい』も利用の多い本だが、こちらはアメリカ獣医療に関して、より具体的である。アニマルポリス、のら猫の「世話人」など日本には存在しない人々の説明や、動物事情が改善された背景の分析、ドラッグ問題の獣医療への意外な影響など、いちいち興味深い。が、それ以上に医療の現場についての記述が貴重である。「プライマリー医療と専門医療」の違い、ふたつの医療があるために気をつけるべきこと、アニマルテクニシャンの活躍内容など、これから日本の獣医療に役立てるべき情報が詰め込まれている。
インフォームド・コンセント、セカンド・オピニオン、ペットロス、安楽死など、字面で「知っている」というテーマについても、現場から見た意見が述べられており、あらためて考えさせられる点も多い。

第4章にある「日本人獣医師がアメリカで獣医師免許を取得するには」「女性であるあなたへ」「パートタイム獣医師」「これからの日本の獣医師像」などといった項目も参考になるだろう。
“ココだけの話”というコラムも数編あって、読み物としても楽しめるようになっている。