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はたらく人びと

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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すべて、動物から教わった
―動物園飼育員 細田孝久の仕事―

(プロフェッショナル仕事の流儀DVD  NHK 2009年)
2010/08/25更新 045号
上野の森に住む動物たち。彼らを護る職員たちが、日々奮闘している。
細田氏は、そのひとりである。アイアイなど絶滅の危機にある希少動物も多く手がけ、繁殖技術にも定評があるという。

生き物を相手にする「はたらく人々」について書くたびに、また、自分が生き物を育てるたびに、しみじみ思う。
しゃべってくれたらいいのに。
ちょっとでもいいから。カタコトでも、ジェスチャーでもいいから。
このDVDでも、ほとんど鳴き声すらあげないアルマジロの赤ちゃんがお乳を飲むかどうか、ただ見ているこちらまでやきもきさせられた。
「生き物は、一回生きて、一回死んじゃう」という言葉の、ズバリと来る強烈さはどうだろう。
ホントウにそうなのだ。おかしいな、と思ってウカウカしていたら、死んでしまう。それで終わりである。
その「終わり」を防ぐべく、細田氏の瞳はとりつかれたように、ひたすらに動物にそそがれる。その陰に、番組では触れられないどれだけの思いがあるか、想像してあまりある。

が、考えてみたら「一回生きて、一回死んじゃう」というのは、人間だってまさしくそうなんだよね。生き物なんだから。
その一度きりの生を生き切ろうとする姿がここにある。それしか言えない。