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日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学
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珍獣の医学

田向健一 (扶桑社 2010年)
2011/12/27更新 054号
いやー、フェレットやモモンガ、カエル、トカゲなんかは序の口みたいですよ。
このセンセイ、町中の獣医さんなんですが「ペットとして飼っている」動物はとりあえず何でも診るそうで、もう読むと開いた口が塞がらないというか、そうか、こういうものも合法的に飼えるんだ…、と、そこからすでに驚きの世界。
ミニブタだのフェネックだのウーパールーパーだの次々現れるが、症例もスゴいのからユニークなのまで、とりどり。
十二年も飼われていて、最近皮膚にちょっと異常が、と持ち込まれたドジョウ。
ゴキブリホイホイでベタベタになったハムスター。
「太郎君」という名前がついているけど実は女の子で、卵づまりになったイグアナ。
ペットシーツを丸ごと飲み込んでしまった大蛇(ボア)。
どうすんだ、それ、と、こっちが心配になるが、自信がある症例にも全く未知の症例にも、まずは立ち向かっていく姿勢が本当にすばらしい。
著者は、もともと大の動物好きで、それが嵩じて獣医になった方なので「どんな動物だろうが、飼い主さんにとっては家族なんだ!」と、深く深く思っている。真摯である。
だから珍獣たちにも真剣に向き合う。教科書が無い、症例が無い、道具も無い、などと言っちゃいられないのだ。
カメのレントゲンを撮るために、固定に使うようになった「パン屋さんのトング」ほか、さまざまな秘密兵器が登場し、海外の獣医学雑誌にも取り上げられた必殺ワザまで紹介されるが、それらはすべて、熱意と努力のタマモノだ。地道な勉強も怠らなず、マジメな方なのだ。が、度胸も満点で「ここが判断のしどころ」というポイントも逃さない。リスクもわかった上で、責任は負うと思った上で、なお決心するのは、なかなか難しい。

診療費の踏み倒しや安楽死といった問題にも言及されている。読み応えがある一冊である。
最後まで飽きない。読み物としてもオススメだ。
マイナー志向、万歳。