はたらく人びと

『神去なあなあ日常』（林業）、『舟を編む』（辞書編集）といった“お仕事小説”でたてつづけにヒットを飛ばしている三浦しをん氏。
好奇心のつよい方なのだろうな。
これって実際は何をやる仕事で、どんな気持ちで取り組んでるものなんだろう？　なんでその仕事をしようと思ったのだろう？という気持ちから見事に一冊、本を編み出してくれている。紹介されている職業はまちまちで、共通項は”女性“ということだけ。
漫画アシスタントや女流義太夫三味線、フィギュア企画開発といった“彼女ならでは”のチョイスもあれば、活版技師、現場監督（いろんな工事のだよ）やお土産屋など、ちょっとフツウはあまり思いつかないようなレアチョイスがあるのもさすがだ。

著者は、聞き上手である。
もちろん、女性同士ということもあるけれど、キッカケとか、夢とか、自然な一連の流れになって話が展開し、こちらもひとすじに読むことができる。仕事内容についての話もその流れに沿っていて、やっぱり筋立てがうまいなー。
フラワーデザイナーや染色家など、だいたいこんな仕事ね、と自分でわかったつもりになっていた仕事についても、彼女の文章で読むと新鮮だ。
ビール職人、動物園飼育係、大学研究員などは本学学生でも直接役立ちそう。おススメ◎