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好きになったら博士~博士号の使い方WOMAN~

incu-be編集部 編 (リバネス出版 2011年)
2012/12/25更新 060号
当館にある進路支援本の一冊は「現時点では女性研究者にとって結婚は△、出産は×」とハッキリ明言している。この事実から目を背けると人生失敗する、とまで、かの書は言うのだ…やはりまだまだ、研究職を志す女性には、イバラの道が続くのだろうか。
そういう思いに囚われそうになったときに、読んで欲しいのがこちらの一冊である。各界で働く女性研究者だけでなく、博士号を生かして別の職業(サイエンスライターや製品開発者、アナウンサーまでいる!)についた女性たちも次々登場する。研究者夫婦へのインタビューなど、コラムの視点も面白い。
こういった、理系女子の働く姿を読むのはなかなか興味深い。知られざる世界(大げさ?)でもあるし、魅力的である。そしてこういうディテールを伝えることは大切なのだ。女性が理系に進みにくい一因に、手近なロールモデルがいないから、ということが考えられると、本書は分析しているからだ。女性が働きやすい場を整えるにしても、そのための「声」がまだまだ足りないのである。
そのために、例えば大学が、理系女性のキャリアデザインをバックアップする動きも見え始めている。本書で紹介されているのは日本大学、上智大学。続く大学もあるだろう。

考えてみれば、男性のハカセだって、今はタイヘンな時代なわけですよ。個々の努力で切り開いていくのは誰でも同じ、ひとりひとりが、違うハカセなのですから。とにかく切り開く一助になれば、ということで、またハカセ本です。