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恋人はイルカ ドルフィントレーナーにあこがれて

恋人はイルカ ドルフィントレーナーにあこがれて

中村元 (株式会社マイクロマガジン社 2008年)
2014/02/12更新 064号
イルカやアシカなどのショートレーナーとして本書に登場するのは、横浜・八景島シーパラダイスの福田智己さん。
年間180万人を超える観客から喝采されるショーチームの一員だ。体重約500キロのオキゴンドウの鼻にぐいっと押されることで、高さ5メートルまでジャンプする人間ロケットの写真は迫力満点である。 が、それだけでなく、彼女がこの職に辿り着くまでの厳しい道のり、ようやく下積みから進んで、初めてハナゴンドウに押されて泳ぐスピードに仰天する瞬間なども描かれる。
「この子たちいつもこんなに速く泳いでいるんだ!」
新米時代に、経験豊富な動物たちに導かれる姿や、あまり興味のなかったセイウチに懐かれて「母化」してしまう過程、正社員に推薦されて悩む一幕など、一連の出来事が新鮮である。イルカの体温測定のために「ハズバンダリー」というトレーニングをし、お腹を上にプカプカ浮いてもらうなど、ショー以外の仕事も紹介されている。慣れれば、採血のために尾びれを差し出してくれるそうで、生態にも迫ることができ一石二鳥だ。餌付けされたイルカが、どういった思考回路で芸をマスターするかも順序だてて説明されていた。

あとがきには、シロイルカにキスされている彼女の写真。一緒に敬礼するセイウチや、ジャンプするシャチなど、写真を楽しむ一冊としてもおススメ。
飼育係ではなく、トレーナーという職業の面白さがよくわかる好著である。