ニュース news

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

【新着論文】キノコに含まれる有害成分「シアン化合物」を簡単・低コストで測定する方法を開発

論 文 名:
A simple and cost-effective method for quantifying cyanide in the fruiting bodies and cultured mycelia of mushrooms using alkaline–SDS extraction and Conway diffusion
(和訳)アルカリ–SDS 抽出とコンウェイ拡散法を用いたキノコ子実体および培養菌糸中シアン化合物の簡便・低コスト定量法
著  者:
知久 和寛、上中谷 萌々、堀川 美葉、太田 帆南、大原 萌香、原 巧、水本 菜月、友野 夏実、赤石 幸、吉田 充
日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 食品安全学教室
掲載雑誌:
Food Chemistry 2026、Volume 503、147812・Elsevier B.V
doi: 10.1016/j.foodchem.2025.14781
研究内容:
 キノコは生鮮食品や新しい食品素材として広く利用されており、その成分を適切に評価することは食品安全の観点から重要です。しかし、従来の定量法では高価な分析機器や複雑な操作が必要となることが多く、教育現場や食品製造の現場での活用には課題がありました。
 本研究では、キノコの子実体および培養菌糸を対象として、簡便かつ低コストでシアン化合物を定量できる新しい分析手法を開発しました。本手法では、アルカリ–SDS 抽出によりキノコ特有の強固な細胞壁や脂質膜を効果的に破砕し、内部成分を効率よく抽出します。その後、酸性条件下でシアン化合物が揮発性のシアン化水素として放出される性質を利用し、コンウェイ拡散法によって定量を行います。
 本法は、特殊な分析装置を必要とせず、再現性や定量性にも優れていることから、食品安全評価や教育実習への応用が期待されます。一方で、実用化に向けては、操作時の安全管理や測定条件の標準化といった課題も明らかになりました。
 本研究で構築した分析手法を用いることで、キノコ中のシアン化合物含量が、種類や保存・培養条件によって変動する場合があることが確認され、その評価が食品安全の観点から重要であることが示されました。
 キノコや培養菌糸は、今後さらに利用が拡大すると考えられる食品素材であり、本研究成果は、その安全性を支える食品安全評価の基盤技術として、今後の研究・教育の発展に貢献するものと考えられます。
(文責:知久 和寛)

■研究者情報

知久 和寛(食品科学科 食品安全学教室・准教授)