【新着論文】成長の早さの違いは“筋肉のエネルギーの使い方”にあった
― 鶏の成長を分子レベルで読み解く ―
- 論 文 名:
- Altered expression of metabolic pathways and immune-related genes revealed by RNA sequencing and metabolomic analysis in meat-type chickens with different growth rates
(和訳)成長速度の異なる肉用鶏における代謝経路および免疫関連遺伝子発現の変化
― RNAシーケンスとメタボロミクス解析による統合的解析 ― - 著 者:
- 石原 慎矢¹*、島本 紗希²、藤村 忍³、上村 美優⁴、井尻 大地²
- 1. 日本獣医生命科学大学 大学院獣医生命科学研究科 応用生命科学専攻
- 2.鹿児島大学 共同獣医学部
- 3.新潟大学 大学院 自然科学研究科
- 4.鹿児島大学 共同獣医学部附属 南九州畜産獣医学教育研究センター
- *責任著者
- 掲載雑誌:
- Poultry Science 105巻,106408, 2026年
Elsevier - 研究内容:
- 肉用鶏では、同じ品種・同じ環境で飼育していても、個体ごとに成長の速さに差が生じます。本研究では、この成長差がどのような分子メカニズムによって生じているのかを明らかにするため、成長の早い鶏と遅い鶏を比較し、筋肉組織における遺伝子発現(RNAシーケンス)と代謝物(メタボロミクス)を統合的に解析しました。
その結果、成長の遅い鶏では、酸素を使わずにエネルギーを得る「解糖系」への依存が強く、乳酸発酵やタンパク質分解が活発であることが分かりました。一方、成長の早い鶏では、ミトコンドリアでのエネルギー産生(酸化的リン酸化)がより活発であり、脂質代謝や免疫関連経路の活性化が特徴的でした。
これらの結果は、成長の個体差が単なる体重の違いではなく、筋肉におけるエネルギー利用戦略や免疫機能の違いと深く関係していることを示しています。本研究は、家畜の成長特性を分子レベルで理解する基盤を提供するとともに、生産性と肉質の両立を考える上で重要な知見を与えるものです。 -
(文責:石原 慎矢)

