2017年学長年頭挨拶

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

2017年学長年頭挨拶

創造力と個を磨く

 新年おめでとうございます。皆様のご多幸とご健勝を心より祈念申し上げます。
 学長に就任して3ヶ月が過ぎましたが、新しい環境で緊張しながら精一杯努力いたしております。そのような中にあって、本当に皆様には、多面にわたりご尽力いただいておりますこと心より感謝申し上げます。
 2017年は、米国トランプ大統領の就任、英国の欧州連合離脱交渉の開始、韓国の大統領弾劾など、世界の政治と経済の先行きが不透明さを増すなかで迎えました。このような社会情勢が不確実であるなか、その対応は益々複雑なものとなるでしょう。
 最近、世の中全体の時の流れが一段と速くなってきていると強く感じています。情報の受発信は、ほとんどインターネット、SNS が主流になり、特にスマートフォンの普及がもたらした変化は急激であり、ボタン一つで世界中と瞬時に繋がることもでき、必要な情報は、ピンポイントで収集が可能となっています。手間がかかる作業のほとんどがカバーされ、上手く使いこなせばこれほど便利なものはないと思います。しかし、このIT によって時間が短縮され、余裕が出るとの予想に反し、新たな仕事が発生し、ますます時間に追いかけられている構図の繰り返しが現状となっています。さらに、今、懸念されていることが、組織、集団、個人誰でも安易にメディアになることができるネット社会が当たり前になってきていることです。自由な情報発信は、民主主義社会における当然の権利でありますが、それが及ぼす影響や結果に対して責任を持つ自覚があってこそ行使できることであります。実際にネット社会は、我々の予想を超える早いスピードで進化を続けています。法的整備も後追い状態であり、ある意味においては、無秩序、無防備な環境に置かれているように感じます。それが持つ功罪を常に考え、一人一人が自覚して使うことを肝に銘じておかねばならないと強く感じています。このような時代を生き抜かねばならない以上、不確実のものに流されず、自分自身で考え判断する時間を大切にしなければならないと思えてなりません。人間が有する最大の強みである想像力をもってI T を味方にした社会変化への対応が必要です。
 さて、法人全体におけるICT の推進は、本学ガバナンスの充実・強化、学生サービス充実など大学運営業務の効率化、実効性推進に大きな力となっています。私たちは、多くの正確な情報を共有し、それらを基に大学運営への知恵を絞る必要があると考えます。往々にして陥りやすく留意しなければならないことに個人的な思い、都合による情報発信、情報操作があります。情報の意図がどこにあるのかを見極めていかねばなりません。建設的で有効な情報に基づく議論は、時間、費用においての効率化をも図れると考えます。
 日本獣医生命科学大学は、創立136 周年、大学院55 周年を迎え、本年もその歴史と伝統に相応しい実力を備えた大学を目指し大学改革の推進を実行してまいります。昨年4 月には、学校法人日本医科大学のミッションステートメントとビジョンが制定されています。ステートメントは「知を創造し、価値を社会に還元する。科学と発明の循環によって人類を豊かにする」。ビジョンは「20年で世界最高峰の学術機関に登り詰める」となっています。このミッションステートメントとビジョンの制定についての内容の詳細情報の周知が、本学教職員には不十分でした。法人下の1 つの大学(組織)として法人のミッションを遂行するうえで本学の立ち位置がどこにあるのかを確認しておかなければならないと考えています。また、ビジョン達成にむけては、2 大学のなかの1 大学として、その一翼を担えるよう、継続的に教育研究の質向上並びに多様で特色ある教育、研究の推進を図り、実績を積み上げていくことであると考えます。
 また、本学においては、ミッションステートメントのもと大学改革のマスタープランである中長期計画の策定を考えています。昨年は本学の改革の推進・進化に対する検証として機関別認証評価を受審いたしました。それらの評価も参考にしながら、「多様性を理解し、創造力と個を磨く大学へ」と定め、学生ファーストな体制の整備へと第一歩を踏み出していく所存です。
 以上のような改革を推進するためには、より効率的な組織運営が必須であり、大学運営に関わる様々な面を機動的・戦略的・一元的に統括できるように各実務部署と協働してまいります。やるべきことが山積しておりますが、一歩ずつ着実にクリアしていく所存ですので、本年もどうぞよろしくご支援頂きますようお願い申し上げます。

日本獣医生命科学大学
学長 阿久澤良造