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学生からのレポート

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宇宙に関する課外活動報告

 この度、獣医学科6年次 宮本汐里さんが以下の課外活動に取組み、優秀な成績を収めました。

■2023年京都大学宇宙総合学研究ユニット第16回シンポジウム ポスター発表
 宇宙ユニット長賞
 「FRONTIERで考えるジェンダー平等#2」
【関連ページ】
第16回宇宙ユニットシンポジウム | 京都大学 宇宙総合学研究ユニット (外部リンク)
宇宙ユニットNEWS(PDF)

■アジアントライゼロG2022 選定テーマ Kibo-ABC award
 「粉体ガスの自己組織化と3次元パターン形成」
【関連ページ】
アジアントライゼロG 2022 実験テーマ決定 | JAXA 有人宇宙技術部門(外部リンク)
Asian Try Zero G 2022の成果報告会が開催されました! | JAXA 有人宇宙技術部門(外部リンク)

■文部科学省委託事業費 宇宙医学教育プログラム 宇宙医学実習 参加
 東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座 宇宙航空医学研究室(2020年度)
 徳島大学 大学院医歯薬学研究部 宇宙栄養研究センター(2022年度)

活動についてのコメント

 獣医学と宇宙は一見関連が無いように思えます。しかし、ヒト・動物・環境の健全性が相互に影響するという考え方”One Health”を扱う獣医学は、将来の宇宙社会を持続可能にするための重要な学問の一つだと言えます。私は、宇宙での獣医学の応用可能性を考えるため、宇宙に関する勉強会や実習に参加しており、先日、上記の課外活動を行いましたので報告をさせていただきます。

 京都大学宇宙総合学研究ユニットシンポジウムでのポスター発表は、宇宙医学に関する学生団体内で結成された、ジェンダーの勉強会のメンバーと共に、宇宙業界で働く女性に対して働き方、出産・子育てなどのライフプラン、ジェンダーについての考え方などについてインタビューを行い、その調査結果をまとめて考察したものです。これまで学んだことのないジェンダー学について理解を深めるために参加した勉強会でしたが、ミーティングやインタビューを通して、ジェンダー学の見聞を広めると同時に、自身の偏見や配慮が足りない点に気付かされました。また、ポスター発表をご覧下さった京都大学の先生が、シンポジウム後に元NASA研究員とジェンダー問題について議論する場を設けて下さり、国によるジェンダー意識の違いや、研究職におけるジェンダー問題を考える貴重な機会をいただきました。

▲宇宙ユニット長賞の賞状



 アジアントライゼロG2022は、宇宙航空研究開発機構JAXAで行われた、国際宇宙ステーション(ISS)内で行う簡易物理実験をアジア圏で募集し、採択された実験が宇宙飛行士の手で実施されるという企画です。この度、東京大学理学部4年の王 方成さん、筑波大学医学群3年の紺谷 昌平さんと共に提案した実験を、ISS内で若田宇宙飛行士に実施いただきました。実験では期待した結果が得られませんでしたが、宇宙空間という特殊な環境で実験系を立てることの難しさと、予想外あっての実験の楽しさを感じ、研究の道を志すにあたって非常に有意義な経験となりました。実験実施日には、筑波宇宙センターにて施設見学や、海外の参加学生および大西宇宙飛行士との交流も行われました。施設見学の際にJAXA職員の方から直接宇宙開発に関するお話をお聞きしたり、参加学生と宇宙への夢を共有したことで、宇宙に対する意欲がさらに高まりました。また、大西宇宙飛行士が、参加学生から「どういった人間が宇宙飛行士に向いていると思うか」と質問を受けた際、「目の前のことを最後まできちんとやり遂げる人」と回答されていたのが非常に印象的で、謙虚な努力をおろそかにすることが無いよう今一度自身を客観視しようと、身の引き締まる思いがしました。

 宇宙医学実習は、文部科学省 宇宙航空科学技術推進委託費(JPJ000959)「将来の有人宇宙活動を支える宇宙医学人材養成プログラムの創出」支援のプログラム内の実習で、全国から学生を募集し、選抜された者が、施設見学、講義、宇宙医学実験等を通して、参加学生や研究者との交流を行います。2020年度の東京慈恵会医科大学での実習では、他大学の医学部の学生2名と共に、宇宙医学の歴史や現状について講義を聴き、宇宙医学実験の一部を体験させていただきました。当時、私は宇宙医学を勉強してまだ日が浅かったため、宇宙医学研究をされている先生方のお話が非常に刺激的であり、また、宇宙医学に関心のある学生との初めての対面での交流に、大変感動したことを覚えています。2022年度の徳島大学での実習では、宇宙食の研究が行われている宇宙栄養研究センターの見学や、宇宙食についての講義、講義内容に関する議論を行いました。この回の参加学生は、医学系のほかに工学、化学、農学、総合生存学と専門分野が様々でした。多様な背景を持つ学生との交流は、より広い視野で多角的に宇宙を考えるきっかけになったと感じております。

▲宇宙医学実習の報告書作成に勤しむ宮本さん



 上記の受賞及び実習参加は、宇宙に関する活動を通して知り合った仲間や先生方、他分野への挑戦を快く許諾して下さった生体分子化学研究室の先生方のお力添えがあってこそのものです。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございます。
 今後も獣医学の研鑽を怠ることなく、宇宙に関する活動に積極的に参加し、宇宙という新たなフィールドにおける獣医学の可能性を探究していきたいと思います。