食のいま
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第55号: 電子レンジはどのように食品を温めるのか(その3)

電磁波と加熱

 もしこの電磁波が存在する空間に液体を置きますと、液体中の分極している分子(分子内に+の部分とーの部分を持つ分子)が空間の+-の方向の変化につられて動かされます。このとき周りの分子とぶつかり合い、お互いに分子の運動を激しくさせ、液体が熱くなる(温度が高くなる)のです。つまり、電荷を持つ分子なら同じように分子運動が激しくなり熱せられます。食品に含まれる水分子は+-に分極しているので、水分子は電磁波の変化につられて動かされ、ぶつかり合って、分子の運動が激しくなり食品は熱せられます。塩などのイオン(電荷を持つ原子)も運動が激しくなるので、塩分の多い食品は熱せられやすいわけです。


 この電磁波を閉じ込めた箱が電子レンジになるわけです。電子レンジの中には電波を発信するマグネトロンとアンテナがあり、電子レンジの内側は金属でできています。電波は金属で反射するので電子レンジ内でマイクロ波が反射し、ここに食品などを置いておくと、液体の水分子の運動が激しくなり加熱されるのです。日本では電子レンジには2.45GHzのマイクロ波を使いますが、これは日本の法律上使いやすい周波数だからで、国により使われる周波数が異なります。

 赤外線は食品表面部分しか加熱しませんが、マイクロ波は食品内部まで届きますので、食品全体が短時間で加熱されるのです。食品を数十秒で温められる実用的な方法は、今のところ他にないようです。また、火を用いた調理方法に比べれば、火事や火傷などの危険性が低い加熱方法といえるでしょう。ですから、私たちの生活の中で広く使われているのです。

「図解「物理」は図で考えると面白い 」,瀧澤 美奈子 ,青春出版社.

「図解「物理」は図で考えると面白い 」,瀧澤 美奈子 ,青春出版社.

参考文献

「図解「物理」は図で考えると面白い 」,瀧澤 美奈子 ,青春出版社.
「医歯薬系の物理学―からだと生命の基礎原理」 ,林 一,丸善.
「医歯系の物理学 」,赤野 松太郎,東京教学社.
「図解入門 よくわかる物理化学の基本と仕組み」,潮 秀樹,秀和システム