食のいま
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第57号:「味噌を見直そう」

  皆さん、味噌汁飲んでますか?ご飯に味噌汁は日本の朝食の基本です。でも、味噌は塩分が多く、高血圧の予防には塩分控えめの食事がよく、そのためには味噌汁はよくないので、朝はパンにチーズにサラダのような洋食にしているという人も多いのでは。実はうちの朝食もほとんどパン食です。
 ところが、最近、味噌の摂取と健康についての研究をしておられる広島大学名誉教授で医学博士の渡邊敦光先生から、味噌で塩分を摂取すれば、食塩として同じ塩分を摂取するような血圧の上昇は認められないという実験結果があるということを聞き、驚きました。味噌の原料である大豆のタンパク質やイソフラボン、味噌の褐色色素であるメラノイジンに血圧の上昇を抑える作用があるということです。味噌を食べると、塩分だけでなく、これらの血圧上昇抑制効果のある成分も一緒に摂取することになり、血圧の上昇が抑制されるのです。その他に、味噌には、胃がんや乳がん、肺がん、肝がんの発生を抑える効果や放射線障害を軽減する作用が報告されています。
味噌は、大豆や、米、麦を原料に、麹を使って発酵させて作る食品で、発酵中に微生物などの働きで様々な物質ができて、あの深みのある芳醇な味わいが出てくるのですが、それと同時に私たちの健康に良い作用を持つ成分もできてくるようです。どのような成分が味噌の疾病予防作用をもたらすのかは、まだじゅうぶんに解明されておらず、私たち日本の食品科学者が研究を進めるべきテーマだと思っています。
 味噌の血圧上昇抑制作用をはじめとする健康に対する良い作用を知ってから、ご飯に味噌汁の朝食を見直そうと思いました。パンやチーズにも塩分は含まれますし、パン食だとバターの脂肪やジャムの糖分を摂取するので、パン食の方が和食よりも生活習慣病予防になるとは言い切れない面もあります。塩分が多いからと味噌を高血圧の原因の悪者とみなさないで、この日本の伝統食品を大事にして、和食の良さを生かした食生活を楽しみたいものです。味噌汁の他に、味噌田楽、味噌漬け、鯖などの味噌煮、味噌ラーメンなど味噌を使う料理はいろいろあります。季節の味を味噌とともに味わいましょう。

参考文献
「味噌力」,渡邊敦光,かんき出版.

▲山梨の伝統料理「ほうとう」も味噌煮込み料理です。
幅広のうどんをカボチャなど野菜とともに煮込みます。