食品科学科の魅力について、麻生学科主任に聞く
「食」という字は、人の下に良という字を書き、通俗解釈では人を良くするという意味がこめられています。また、英語の格言にも、「You are what you eat. (「食は人なり」:あなたは、あなたの食べたもの)」という言葉があり、摂取した食物が形を変えて人間の体を構成しているという科学的な事実を表していることは確かなのですが、食べたものがあなたの人間性そのものなのだという意味で、人間にとっては、「食」の果たす役割が重要であるということを教える言葉と受け止められます。
文明が進歩し、科学技術が発達した現代では、食品分野でも大いに恩恵を受けており、我々の食生活は豊かで便利なものになっています。一方では、生活習慣病やメタボリックシンドローム(メタボ)という言葉が広く聞かれるようになり、予防医学の観点からも日々の生活から健康を手に入れることが認識され、様々な食生活指針や健康食品があふれています。また、環境変化やバイオ燃料需要による食品供給の減少(値上げ)、食品偽装の事件など解決すべき食をめぐる問題も多くなってきました。現代は、科学的で正しい食品の知識と健全な食品に対する判断力を持ち、生活習慣病の予防や健康維持、安定した食品の供給に役立つ広範囲の食品素材の開発・加工、品質・衛生管理、バイオ技術による資源の有効利用など食品の知識や技術を高度に総合的に勉強、研究した食のスペシャリストが必要とされています。
本学部の応用生命科学(ライフサイエンス)は、生命の営みを究明し、得られた成果を科学技術として応用する学問であり、食料、資源、環境といった人類にとって最も重要な課題と深く結びついた先端の分野でもあります。その中で、食品に関係する各分野にまたがる領域を体系的に統合して、それを基盤とする幅広い教養と応用技術を身につけた人材を育成する教育をしているのが食品科学科です。
本学科には、学生の個性と自主性を尊重した学びやすい体系化されたカリキュラムが用意されています。主な分野の特徴を簡単に紹介しましょう。
孟子は、物事をなしとげる重要な要素として、天の時(社会情勢や時期)、地の利(勉学環境や立地条件の良さ)、人の和(教育 組織、同じ志を持つ仲間など優れた人的条件)という3つが必要だ、と同時に、「天の時は地の利に如(し)かず、地の利は人の 和に如かず」と「人の和」を得ることが最も重要であるとも言っています。 みなさんは、食の安定供給、安全性、健康機能や新技術の必要とされる現代に、都市圏にある知の創造の場で、食を体系的 に学べる洗練されたカリキュラムに基づき、各領域の専門家による充実した教育体制という全要素を満たした本学の食品科学科で勉学に励める出会いを活かしてください。そして、「敬譲相和」の学是のもとで、先生、先輩、同輩、後輩と人の和を築きやすい学びの環境を活かし、幅広い教養を持ち、しっかりした専門的知識を有し、外国語能力を身につけ、情報機器を駆使し、問題を発見し解決することができる人材となるよう期待しています。あなたの力で、食のヒミツを解き明かし、食の未来を拓いてみませんか。