食品科学科2年次生を対象とした食品化学実験では、食品の糖質、脂質、タンパク質、ビタミンなどの成分に対応した多岐にわたる分析法を学びます。今回の実験を通して、色々な化学分析法の基礎を体得することを目指しています。今年度の食品化学実験の様子を数回に分けて報告していきます。
まず、Part.1の今回は、糖質の定性試験です。糖質は、炭水化物とも呼ばれており、タンパク質、脂質とともに、私達が生きていくために重要な栄養素です。では、糖質にはどのようなものがあるのでしょうか。私達が普段食べる食品には色々な糖質があります。デンプン、砂糖(ショ糖)、水飴の主成分である麦芽糖、果実などに多く含まれている果糖に加えて、オリゴ糖、人工甘味料などたくさんあります。多くの糖質は水に溶かすと、その溶液は透明になるので、どの糖質が溶けているか目視では判断できません。しかし、糖質の特徴的な化学構造に着目した化学反応を用いることで、溶けている糖質を決定することができます。
今回は、教員が用意した6つの溶液に対して、5種類の化学反応を用いて、何の糖質が溶けているか調べる実験を行いました。班員でその答えを考えてもらい、教員やTA(実験指導補助)の学生に対して説明してもらいました。答えを導き出せても、わかりやすく、的確に説明することに苦戦している様子もありました。情報を調べることや自分の頭で考えることも大切ですが、その内容を相手に理解してもらうことも、これからの卒業研究や卒業後の仕事においても重要な能力となりますので、ぜひ意識しておいてほしいと思います。
次回は、食品に含まれているタンパク質の量を調べるための化学実験のレポートをお届けします。
食品の糖質、脂質、タンパク質、ビタミンなどの成分に対応した多岐にわたる分析法を学ぶ。これにより、種々の化学分析法の基礎を体得することを目指す。
1.実験の基礎として種々の器具・機器を安全に正確に使用でき、各種濃度溶液を調製できる。
2.食品の主要・微量成分の定性・定量分析の内容を理解し、その分析を正確に実行できる。
実験室での講義(パワーポイントあるいは板書による)と4~5人グループによる実験。