食品科学科2年次生を対象とした食品化学実験では、食品の糖質、脂質、タンパク質、ビタミンなどの成分に対応した多岐にわたる分析法を学びます。今回の実験を通して、色々な化学分析法の基礎を体得することを目指しています。今年度の食品化学実験の様子を数回に分けて報告していきます。
今回のPart.2では、粗タンパク質の定量実験を紹介します。今回の実験では、ケルダール法を行いました。前半の講義では、ケルダール法の原理(実験操作、化学反応式など)、窒素-タンパク質換算係数、ケルダール法では「粗」タンパク質が算出される理由を中心に説明しました。実験では、各班で持参した食品(タンパク質を含む)を測定試料としました。
実験に使う試薬類は、学生自身が化学計算(モル濃度、規定度など)を行い、必要な試薬を天秤で量りとり、調製しました。化学計算が苦手な学生もいましたが、TA(実験指導補助の学部4年生と大学院生)から丁寧な指導を受けたことで、化学計算の考え方を習得しました。
実験の中では、大型のガラス製蒸留装置も使いました。設定の仕方によっては、想定した動きを示さないこともあり、苦労している場面もありました。全自動で食品の粗タンパク質を簡単に測定できる装置も登場していますが、どのような化学反応や測定原理が関わっているのかを知っておくことは大変重要です。低年次の学生は、分析化学を学んでいる段階ではありますが、実験で得られた最終的な測定結果を信頼して、その結果を○か☓で単純に判断する傾向にあります。実験で得られた測定結果の妥当性は主観的ではなく、客観的に判断される必要があります。そのためには、参考文献を調べること、関係する化学反応や測定原理に基づいた考察が基本となります。食品化学実験では、食品の化学分析実験に加えて、科学的な考え方の習得を目指した教育を心掛けています。
次回は、ビタミンの化学実験のレポートをお届けします。
食品の糖質、脂質、タンパク質、ビタミンなどの成分に対応した多岐にわたる分析法を学ぶ。これにより、種々の化学分析法の基礎を体得することを目指す。
1.実験の基礎として種々の器具・機器を安全に正確に使用でき、各種濃度溶液を調製できる。
2.食品の主要・微量成分の定性・定量分析の内容を理解し、その分析を正確に実行できる。
実験室での講義(パワーポイントあるいは板書による)と4~5人グループによる実験。