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大学間連携共同教育推進事業「グローバル社会を担う次世代型獣医学系大学教育機構の構築」における本学の取組み

 「大学間連携共同教育推進事業」は、国公私立の設置形態を超え、地域や分野に応じて大学間が相互に連携し、社会の要請に応える共同の教育・質保証システムの構築を行う取組の中から、優れた取組を選定し、重点的な財政支援を行うことにより、教育の質の保証と向上、強みを活かした機能別分化を推進することを目的とする文部科学省が行う助成事業です。
本学は平成24年度に採択された「グローバル社会を担う次世代型獣医学系大学教育機構の構築(略称Vet4U)」に東京大学、日本大学、麻布大学とともに参加しました。

 グローバル化で国境を越えてやってくる動物の感染症や畜産物の安全性、ペットの高度医療への対応など、獣医師に求められる社会のニーズは多様化・激変しています。国際機関でも獣医学教育の質保証が提唱され、国際的通用性をもった我が国の獣医学教育システムの構築が急務となっており、獣医学教育を実施する全国の大学で教育改革が行われています。このような背景をもとに、Vet4Uでは以下の4つのコンセプトに基づいて事業を展開しました。

  • 1.

    ヒューマンコネクション(Face to Face)とICTの融合
     連携する関東地区の4大学には、全国の獣医学生の37%(各学年約350人)が在籍し、周囲には関連研究・行政機関が集中している。生命倫理に基づく動物医学の習得を目指す獣医学では、学生と教員が顔を合わせて実施する教育は不可欠であり、人の移動が可能な立地条件を活かした地域連携と分野連携とを合体した形で事業を展開する。

  • 2.

    情報通信技術(ICT)の活用
     限られた資源・時間の中で理想的な教育を行うためには、ICT技術の活用は避けて通れない。各大学や連携機関のもつ教育コンテンツをアーカイブ化し、新設する教育資源管理運営センターに蓄積するとともに、共通化教材による効率的な教育システムを構築する。

  • 3.

    スキルラボの構築
     学生や教員の移動が可能な立地条件を活かして各大学に特色あるスキルラボを設置して学生の技能習得と向上を図る。また、従来行ってきた交流授業をさらに拡充する。

  • 4.

    モデル・コア・カリキュラムへの対応
     獣医学教育の質保証をするためのコア科目(講義科目51科目)に準拠したカリキュラムの実施をサポートするとともに、各大学の特色を生かし、グローバル社会に対応するアドバンス科目を備えたシラバスを、連携校と連携機関で作成していく。

 本学はこれまで蓄積してきた小動物臨床初期教育のノウハウを活かして、教育用シミュレーターを開発しました。
イヌの身体検査(心音や呼吸音の聴診、触診、体温測定)のトレーニングに使用できるものでは、心拍数や呼吸数をリモコンで変動させることが可能となっているほか、正常心音に加えていくつかの心雑音(僧帽弁閉鎖不全症や動脈管開存症など)の聴診も行うことができるようになっています。また触診用シミュレーターではビーグルの外観が忠実に再現されており、主要な体表リンパ節や乳腺腫瘍を触診できるようになっています。シミュレーターを活用することで生体での実習前に基礎訓練を十分に行うことができ、動物愛護・動物福祉の観点からも実習供試動物の負担を軽減することが可能となりました。

 また本学では、獣医療者に相応しい人格形成のための教育の一環として、獣医学科5・6年次に「獣医療におけるコミュニケーション」に関する実習を開講しています。この実習では適切な獣医療に不可欠な、獣医師とクライアント間でのコミュニケーションの受容性を認識させることを目的として、本学の実習に協力して下さる模擬クライアントさん(事前に十分なトレーニングを受けて下さっています)に対し、学生が問診あるいは告知を行う内容となっています。医療面接の内容は実際の獣医療現場でよくあるシチュエーションに即しており、より実践的なものになっています。また面接の後にクライアントからのフィードバックを受け、獣医師の言葉や仕草がどのようにクライアントに捉えられるのか気づく機会となっています。また、このような医療面接に必要なスキルに関する教材の開発も行いました。特に映像教材は現在全国の獣医大学でも活用されています。
さらに、学生の獣医学的実技スキルの評価を通して教育の質を保証する目的で、医学、歯学、薬学でも実施されているOSCE(Objective Structured Clinical Examination;客観的臨床能力試験)の実施に向けた取り組みも行いました。この取り組みは平成29年度から開始された獣医学共用試験の内容に活かされています。

 本事業は高く評価され、平成27年の中間評価では最高評価のS(計画を超えた取組であり、現行の努力を継続することによって本事業の目的を十分に達成することが期待できる。)に、最終評価ではA(計画通りの取組が行われ、成果が得られていることから、本事業の目的を達成できたと評価できる)となりました。

中間評価結果

事後評価結果

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