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牧場長の挨拶

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

新しい価値を生み出す付属牧場

富士アニマルファーム牧場長
味戸 忠春

 本学の付属牧場である富士アニマルファームには「教育」、「研究」、「生産」、「社会貢献」の4指針が掲げられており、日々活動が行なわれています。その中でも「教育」においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、各学科の付属牧場での実習が中止されたり、日帰りでの実習に縮小されたため、残念ながらその使命を達成できませんでした。2023年5月8日以降は新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に引き下げられることから、2023年度以降は東京から牧場までの移動と、宿泊による感染リスクを抑えたウィズコロナでの新しい実習形態に移行する予定です。宿泊に関しては富士セミナーハウスが個室宿泊の改修工事を完了しましたが、収容人数が十分ではないため、隣接地における増築工事が進んでおり、合わせて60名以上の学生が宿泊できる新しい富士セミナーハウスが完成します。長期間の実習や研究活動にも対応できる施設としての活用が期待されます。獣医学科では2023年度に第三者評価機関による獣医学教育評価審査を予定しており、付属牧場における臨床実習を実績としてアピールいたします。
 「研究」では、飼養動物を用いて泌乳牛を用いた分娩後の子宮や卵巣機能回復に関する研究、周産期疾病特にケトーシスの診断や治療に関する研究、肉用牛の採卵や体外受精卵の作成、肉用牛の育成や肥育に関する研究が行われています。大学の付属牧場として「研究」は重要な使命の一つですので、研究を行う教員・学生と牧場スタッフが情報を共有し、円滑な研究推進と期待する成果が得られるよう研究環境を整えていきたいと思います。
 「生産」を目に向けると、現在の飼養頭数を飼育するには、富士アニマルファームの設備規模では限界がきています。幸いにも隣接農家の土地購入により、施設拡充計画が進んでおり、自給飼料を確保するための採草地の整備や、放牧地として整備して泌乳後継牛の育成や肉用牛の育成等の活用が期待されます。飼養家畜頭数や施設が増えるに伴い牧場スタッフの増員も必要になりますし、昨今の輸入飼料高騰の影響もあり、生産牧場としての収支を常に意識した牧場経営を行うことが求められます。さらに、アニマルウエルフェアにも配慮した飼養環境を提供し、安全でより付加価値の高い畜産物を生産することによって牧場の価値の向上を図ります。
 「社会貢献」は今後の富士アニマルファームの柱になる指針です。日本獣医生命科学大学付属牧場が山梨県で存続するためには、地域社会への貢献が重要です。現在は家畜人工授精師講習会や高大連携事業としての実習や講習会を開催していますが、酪農教育ファーム認証牧場としての活動も積極的に行いながら、地域のニーズに沿った新しい価値を生み出していきます。
 今後の富士アニマルファームの変化をご期待ください。皆様のご理解とご協力の程、よろしくお願いいたします。