自己実現：

　相次ぐ輸入食品の安全性への不安の中で、食糧自給の強化に関心が高まっているものの、国際穀物需給の逼迫、牛乳取引価格の低迷により、酪農経営の疲弊が進んでいます。戦後の酪農は、家族労働経営を中心に自給率向上を目指し、土地基盤の拡大、機械や設備の近代化を図ってきましたが、厳しい状況を乗り切れず、毎年千戸以上の酪農家が消滅しています。私は、酪農経営の存立条件として土地利用型形態、自給飼料生産について研究しています。様々な酪農地帯を調査してきましたが、これ以上、酪農家を減らさないという使命感をもって後世に継ぐ力強い酪農形態を提示したいと考えています。

学生へのメッセージ：

　富士アニマルファームの実習を通じて、農業の楽しさ、厳しさ、そして食料供給を担う大切な産業であることを学んで頂きたいと思います。机上の学問とフィールドの事象が一致したとき、自分の能力として備わります。現場でしか学べないことが日々の飼養管理の中に在り、この実学から研究へ発展するものと考えています。是非日本一の富士の麓に来て、夜の更けるまで家畜と対話して頂きたいと思います。本学で学ばれている学生諸君には、これからの日本農業を担う若き力として大いに期待しています。