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フィールドサイエンス 牧場研究報告

日本獣医生命科学大学 日本獣医生命科学大学

第1号:「牧場研究報告」をホームページ上に掲載するにあたって

吉村 格(教授/牧場長)
小林 眞理子(教授/副牧場長)

2015/04/22 更新

「附属小野田牧場の遠景「夢はここから始まった」

吉村 格(教授/牧場長)
本学が念願の「附属牧場」をもったのは、40年余り前、宮城県小野田町にであった。その置かれた周辺の畜産環境から酪農の牧場を目指した。長い準備期間を経て52haの用地を取得し(後に80haの土地も購入)、将来的には80頭搾乳体制の基盤となる初妊牛29頭を北海道から導入し、学生たちの宿泊施設や搾乳牛舎の完成によって昭和51年大きな夢を語りながらの開場となった。日本獣医畜産大学附属小野田牧場である。

しかしながら職員の懸命の努力にもかかわらず、当地は地元の農家さえ冬期は里の集落に下って生活しなければならない豪雪地帯、経営的には乳価の低迷や飼料価格の高騰、乳質による取引価格の厳格化、生乳の生産調整など、酪農を取り巻く環境は当初の予想を遙かに超えた厳しいものであった。しかも本学から700km、片道10時間以上の移動距離は、学生の教育や教員の研究を行う場としては不向きだったため、17年にわたり運営してきた附属小野田牧場ではあったが、平成4年に活動の拠点を富士山の麓、山梨県上九一色村に移して新しいスタートを切ることとなった。設置当初は、畜産学科の設置基準を満たすために展示動物として牛・馬・綿山羊・豚・鶏を2~3頭ずつ飼育するだけでよい、ということで寂しい産声をあげた「富士アニマルファーム」であったが、教職員達の協力により他大学の附属農場や牧場が規模の縮小や家畜の飼育から撤退する中で、我が大学では有り難いことに規模の拡大と内容の充実が図られていった。

そして、やっとここまで辿り着いた。小さくとも夢を語れるようになった。これまでの富士アニマルファームの運営や学生たちの実習、さらには地域貢献などの活動は「継ぐ命 附属牧場便り」に掲載し続けて既に130号にもなった。私が定年退職までにしなければならない畜舎の建設、施設設備の充実、車輌の購入など数多ある中で、大学にとって最も重要になると思われるのが今回ホームページ上に掲載が許された「フィールドサイエンス 牧場研究報告」の立ち上げであろう。このところ実習などの教育活動と同様に富士アニマルファームで研究をしたいという仲間が増えてきた。ここで実施された最近の研究成果を、進行中の研究を、これから展開したい研究を、ここから発信していきたいと思っている。さらに共同研究の仲間を学内外に募りたいとも考えている。富士アニマルファームが本学フィールドサイエンスの拠点として多くの人たちが集まれる土俵になることを祈りながら、さらなるステージに一歩踏み出したいと思う。皆様方の御指導を仰ぎたい。

小林 眞理子(教授/副牧場長)

このたび付属牧場に関係する話題を掲載していた「継・いのち」と平行し、付属牧場と関係した研究に特化した記事を掲載するための「フィールドサイエンス 牧場研究報告」を設けることとなりました。本学関係者の皆様ならよくご存じのように、牧場は学生の教育のために利用されるにのみならず研究にも多大な貢献をしております。しかし、誰がどのような研究を行っているかをまとめたものは無いのが現状です。そこで、牧場を舞台とした研究に関して、本学教員・学生、将来的には他組織の研究者、教員をも交えた研究交流の場になればという吉村牧場長の熱い思いから、このコーナーを設けることとなりました。研究者、教員だけではなく、本学を志す受験生や本学学生の保護者の皆様にも、本学ではどのような研究が行われているかを知るための情報源の一つとなることも期待されます。

以上のような主旨をご理解いただき、牧場に関連したご研究に関して、諸先生方のご協力をいただきたいと思っております。