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第4号:ウシ胚移植技術による異品種増産計画

動物科学科4年次 山崎 承美

2015/11/17 更新

 私は動物生殖学教室に所属して、牛の繁殖に特化した卒論研究を行っています。
 本教室では生産現場で生殖技術を応用するため、繁殖調査、人工授精、胚生産ならびに胚移植技術を近隣酪農家ならびに富士アニマルファームで実践しています。付属牧場との共同研究では希少種でゴールデンミルクを生産するガーンジー種、強健でチーズ作りに最適なブラウンスイス種の増産計画に参画しています。これまで当研究室の取り組みでは、用意周到に準備しても正常胚が採取できなかったり、せっかく受胎しても惜しくも雄が産まれてしまったりで、胚移植技術の成果を目の当たりにすることは希少でした。
 先輩からの技術を引き継ぎ、初めて3年次の2月にガーンジー採胚に立ち会いました。前日から緊張と不安な気持ちが大半を占め、「ザックザクと卵取ったるで~!」など楽しむ余裕は全くありません。当日になってもその気持ちは変わらず、緊張のあまり術者の足を引っ張ってしまいました。その反省を踏まえ、事あるごとに欠かさず同行してきました。
 今年6月に行ったブラウンスイスの胚採取は、①牧場の中で最も温厚な性格のブラウンスイスの遺伝子を残すこと、②本学と高大連携校である都立瑞穂農芸高校に胚を移植してあわよくば同時期に子牛を生産すること、そして③何よりも将来農業や酪農に従事することを夢見ている高校生に高度繁殖技術を紹介する目的で行われました。臨床系に所属する獣医学科学生にも同行して頂いた甲斐もあり、付属牧場での採胚と移植は無事に終了し、雌の余剰胚を直ちに東京の瑞穂農業高校へ運びました。休日にもかかわらず、沢山の高校生が胚移植の光景を見学してくれました。「私も将来やりたい!」、「もっと胚移植技術について知りたい!」と目を輝かせて感想を述べた高校生もおり、私は高校生に強い興味と関心を得てもらったことで胸がいっぱいになりました。
 私は残りの大学生活で、発生工学技術が研究の範疇を超え、産業分野で活かされ、最終的に消費者に広く知れ渡るにはどうすればよいかを学んでいきたいと思います。2月に受胎したガーンジーの胚から2月に雌子牛が生まれること、3月に雌のブラウンスイス胚から付属牧場と瑞穂農芸高校でともに受胎した姉妹が誕生することを祈りつつ、取り組んでいただいた皆様方とともに分娩に立ち会って喜びを分かち合いたいと思います。

2015年度ウシ胚移植受胎状況

受卵牛名号 胚の種類 分娩予定
ジュース ガーンジー 2月14日
ハートランド 黒毛和種(凍結胚) 3月 9日
デコール ブラウンスイス(雌胚) 3月17日
メイ(瑞穂農芸) ブラウンスイス(雌胚) 3月17日
アイビー子 黒毛和種(2胚) 3月29日