比較遺伝学研究分野

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分野と研究内容

 比較遺伝学研究分野は、獣医保健看護学科の教育研究基盤である3部門の中の、「獣医保健看護学基礎部門(基礎部門)」に属します。基礎部門には、他に微生物・感染症学研究分野、生体機能学研究分野、数学・生物統計学分野があります。

 比較遺伝学研究分野は、当学科学生の最初の研究室配属となる2008年4月正式に発足しました。現在分野の教員は、動物遺伝学や動物生化学(同実習)、動物品種論など動物の保健や看護を学ぶ上での専門基礎科目をはじめ、自然科学概論、獣医保健看護学体験実習、卒業論文ならびに大学院の教育研究を担当しています。また、認定動物看護師(動物看護師統一認定機構)に加え、バイオ技術者中級・上級認定試験(日本バイオ技術教育学会)の教育支援も行っており、2013年度には本研究分野の学生がバイオ上級成績優秀者に表彰されています。
https://www.nvlu.ac.jp/news/20140411-01.html/

研究理念

「医療・福祉に役立つ遺伝情報の探求」

主な研究テーマ

  • ①安全で適正なイヌとネコの輸血を目指した血液型(物質)の分子基盤の解明
  • ②盲導犬の適正やイヌの体質・気質に関する遺伝学的研究
  • ③東日本大震災に伴う野生動物の環境変化に関する研究

研究分野では、獣医保健看護学博士前期課程(https://www.nvlu.ac.jp/faculty/011.html/)博士後期課程(https://www.nvlu.ac.jp/faculty/020.html/)の大学院生を募集しています。研究内容は最下段その他の項目(研究業績)を参照してください。

 研究分野には、15名前後の学部生(3年と4年)と数名の大学院生や特別研究生が在籍し、教員と共に卒業論文や学位論文の研究に取り組んでいます。その成果は、学会発表や学術雑誌などで情報発信しています。

比較遺伝学研究分野のゼミ

卒業研究

卒業式

メンデル博物館(2013年近江撮影)

 卒業生は、動物病院、医薬等の製造・販売等(共立製薬、日本べーリンガーインゲルハイム、科研製薬、三笠製薬など)、研究・検査等、医療支援サービス等、その他、あるいは大学院*など新しい進路先で活躍しています。*日本獣医生命科学大学、東京医科歯科大学、東京大学、東京海洋大学

教員紹介

近江先生
  • 氏 名近江 俊徳
  • 役 職教授
  • 学 位博士(医学)
専門分野
人と動物の遺伝学、動物生命科学、分子血液型学

担当科目
動物遺伝学、動物生化学・同実習、動物品種論、遺伝子検査学実習、卒業論文、分子遺伝学特論


研究者情報
宇田川先生
  • 氏 名宇田川 智野
  • 役 職講師
  • 学 位博士(獣医保健看護学)
  • 資 格愛玩動物看護師
専門分野
人と動物の遺伝学、動物生命科学、ゲノム科学

担当科目
動物生化学実習、遺伝子検査学実習、卒業論文



研究者情報

Close-Up「研究」

1.輸血医学で重要なイヌおよびネコの血液型に関する研究

 イヌはDEA、ネコはAB式血液型があります。より安全に輸血を行うためには同じ血液型の血液を輸血する必要があります。血液型は一般に抗体を用いて検査されますが、私たちは抗体検査を補充できる、DNAによる検査法の開発を目指しています。現在は品種による血液型の分布の違いや血液型を担うCMAH遺伝子の解析など基礎的研究を行っています(Omi et.al., PLoS One,2016. Uno et.al. Canine Genet Epidemiol.2019)。これらの研究が動物の輸血に役立つ事を期待しています。

■トピックス「人とどうぶつの血液型」が本になりました(発行日平成30年8月20日)

 【書籍紹介】
この書籍は、小学生高学年から一般向けに、学生とともに当教室で研究しているイヌやネコの血液型はもちろん、ヒトや他の動物の血液型、さらにヒトの輸血、イヌやネコの輸血について様々なイラストを交えてわかりやすく紹介しています。

(人とどうぶつの血液型 近江俊徳編著、出版社緑書房、定価1800円)

2.盲導犬の適正に関連する遺伝子解析

(GWASイメージ)

 盲導犬は、目の不自由な方の歩行のサポートをする身体障害者補助犬です。単年度での育成頭数は約150頭弱と盲導犬使用希望者数に比べ、盲導犬が不足しているのが現状です。その理由の一つとして盲導犬の適性検査の合格率が30%程度と低いことが課題となっています。それらを解決する手段の一つとして、遺伝学の応用があります。私たちの研究室では、これまでに報告されていない、新しい盲導犬関連遺伝子を見つけました。現在、その遺伝子の特徴をより明らかにする研究を進めています。

3.東日本大震災に伴う野生動物の環境変化に関する研究

ニホンザル
撮影今野文治

 先の東日本大震災と原子力発電所の事故を受け、「今、記録できること」を考え野生動物学研究分野、本研究分野、JA新ふくしま、など共同で研究を進めています。この研究により福島市内のニホンザルの低線量被ばくの実態(Hayama et al., PLoS ONE, 2013)、当該地域の調査個体における白血球数の減少(Ochiai et al., Sci Rep., 2014)などを明らかにしました。現在はこれらのモニタリングの継続ならびに、遺伝子多様性についても調査しています。