病態病理学研究分野

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分野と研究内容

 病態病理学研究分野は、2007年に動物看護系学科としては初めて設置された病理学研究室です。獣医保健看護学科学生の動物病理学および動物形態学教育と、獣医療病理検査技術者の育成を行っています。
また当分野では、人と動物の共通性や特異性を比較しながら、疾病の原因や発症の仕組みを病理形態学・分子病理学的手法を用いて研究しています。特に当研究分野で掲げているテーマは下記の二つです。

① 野生動物の保全に関わる病理学的研究

 当研究分野では野生動物・動物園動物を専門とする病理検査を実施しています。様々な野生動物の症例を病理学的に解析し、疾病データを蓄積することで、野生下の動物の伝染病発生のモニタリング、稀少な動物の動物園内飼育・繁殖(生息域外保全)などに貢献します。

② 動物の腫瘍性疾患の診断病理学的、分子病理学的研究

イヌやネコの乳腺腫瘍を中心に、細胞形質と遺伝子発現の解析、組織発生の解明、診断困難な腫瘍の同定など、腫瘍の診断と治療の発展に貢献する研究を行うことで、ヒトや動物の医療に還元することを目指しています。

 当研究分野では、獣医保健看護学専攻の大学院生を募集しています。当研究分野への進学や、獣医療病理検査技術者の求人、野生動物・動物園動物の病理検査を希望される方は、“日本獣医生命科学大学 獣医保健看護学科 病態病理学研究分野”を検索し、私設ホームページをご訪問下さい。

教員紹介

山本先生
  • 氏 名山本 昌美
  • 役 職准教授
  • 学 位博士(獣医学)
  • 資 格獣医師
研究者情報
吉村先生
  • 氏 名吉村 久志
  • 役 職准教授
  • 学 位博士(獣医学)
  • 資 格獣医師、日本獣医病理学専門家協会(JCVP)会員
研究者情報

Close-Up「研究」

1.奄美群島の稀少な野生動物死亡例の病理学的研究

 奄美群島の動物病院の先生方などからのご依頼により、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどの稀少な野生動物が死亡しているのが見つかった場合や、傷病で保護後に治療の甲斐なく死亡した場合に、その死因について病理学的に調査しています。これにより野生下で危険な伝染病が発生していないかのモニタリングや、今後の保護個体の治療法の改善に役立てています。

2.イヌの乳腺腫瘍の病理学的研究

 奄美群島の動物病院の先生方などからのご依頼により、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどの稀少な野生動物が死亡しているのが見つかった場合や、傷病で保護後に治療の甲斐なく死亡した場合に、その死因について病理学的に調査しています。これにより野生下で危険な伝染病が発生していないかのモニタリングや、今後の保護個体の治療法の改善に役立てています。

 雌イヌにおいて発生頻度の高い腫瘍である乳腺腫瘍を研究テーマの一つにしています。近年、イヌの乳腺腫瘍は様々な新しい組織型が提唱されており、その分類が大きく変わろうとしています。当研究室では、免疫組織化学的な分化マーカーを用いたイヌの乳腺腫瘍の分類法について検討しています。
 またヒト乳癌では、前癌病変、ホルモン受容体などの発現に基づくサブタイプ分類、上皮間葉転換、癌幹細胞説、non-coding RNAなどについて研究が進展しており、これらの新しい概念をイヌの乳腺腫瘍に取り入れた研究を行っています。

学生からの一言

大江 友美 (獣医保健看護学専攻博士前期課程2年次)

 私は、大学2年次に初めて病理学に出会い、そのおもしろさに魅了されました。病気になった時、細胞・組織レベルで変化が起こっており、この変化のつながりを追うことで、病気の原因を探ることができます。現在は、博士前期課程でイヌとネコの乳腺腫瘍について研究を行なっています。修了後も病理学的視点から研究を行ない、この研究室で学んだことを生かしていきたいと思います。