動物生体防御学教室

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研究室紹介と研究内容

生体は、まだ見ぬあらゆる病原微生物・外来異物に対抗できる仕組みを持っています。このことは逆に、自分の体を攻撃する潜在能力も有することを意味しますが、そうならない仕組みも持ち合わせています。免疫細胞は通常、共生細菌は攻撃せず、病原微生物は攻撃し、自分の体は攻撃しません。しかし一旦、バランスを崩すとアレルギーや自己免疫疾患を引き起こします。この諸刃の剣である免疫機構を、マウスを用いて分子論的に理解することを目指しています。

教員紹介

有村裕
  • 氏 名:有村 裕(ゆたか) 教授
  • 学 位:博士(医学)
  • 専門分野:免疫学、微生物学
  • 担当科目:生体防御学、動物微生物学、動物防疫学、動物防疫学実習、卒業論文
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)
小柳円
  • 氏 名:小柳 円 講師
  • 学 位:博士(医学)
  • 専門分野:免疫学、微生物学
  • 担当科目:動物防疫学、動物防疫学実習、卒業論文
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)

Close-Up「研究」

1. 心理的ストレスが免疫系に与える影響の解析
 人も動物もあらゆるストレスを受けながら過ごしていますが、ストレスは免疫機能にも影響を与えていることが分かっています。ストレスは主に副腎皮質ホルモンと交感神経系によって体に影響を与えますが、その時、免疫応答の種類、免疫細胞の集団構成にどのような影響が起きるのかを各細胞内において分子レベルで明らかにするために研究しています。
2. 線虫によるIgE抗体の産生誘導機序とアレルギー発症の相関
 近年、アレルギー疾患が大幅に増えた原因として衛生仮説が知られています。アレルギー疾患ではIgE抗体が産生されますが、線虫の感染でもIgEが選択的に産生されます。線虫感染時にアレルギー症状が軽減されるかについては相反する報告があり、議論の余地があります。また最も一般的な抗体であるIgGではなく、IgEが選択される仕組みにも不明な点が多く残されています。これらの未解決な問題を解決するために研究しています。
3. アレルギー疾患の発症に関与するマスト細胞と顆粒球の解析
 アレルギー疾患の感受性には個人差があるように、マウスにおいても感受性に系統差が存在します。アレルギー疾患において中心的な役割を果たしているIgEとマスト細胞、ならびに顆粒球(好塩基球、好酸球、好中球)に着目して、アレルギー疾患の疾患感受性、寄生虫や細菌に対する免疫応答におけるマウス系統の差異の仕組みを明らかにするために研究しています。
4. 自己免疫疾患の発症機序の解析
 自己免疫疾患には全身性疾患と組織特異性疾患があります。前者については全身性エリテマトーデス(SLE)のモデルであるMRL(lpr)マウスを用いて、後者については炎症性腸疾患(IBD)のモデルとしてDSS(デキストラン硫酸ナトリウム)誘導性大腸炎マウスを用いて、それぞれの発症機序と免疫応答の関連を明らかにするために研究しています。
5. 濾胞ヘルパーT細胞が抗体産生を促す仕組みの解析
 生体において抗体はB細胞から産生されますが、B細胞が抗体を作るためにはヘルパーT細胞による手助けが必要です。近年、ヘルパーT細胞の中で特に抗体産生の手助けに特化した細胞集団である濾胞ヘルパーT細胞(Tfh)が確立されました。TfhがどのようにしてB細胞の病原微生物や外来異物抗原に対する抗体産生を促すのか、その分子機序を研究しています。
6. 免疫細胞におけるチロシンホスファターゼの機能解析
 私達の細胞は、細胞間のやりとり、ホルモンやサイトカイン、接着因子など外界から情報を得ています。そのためには多くの場合、受容体からシグナルが伝わることが必要であり、細胞内のシグナル伝達では分子のリン酸化、脱リン酸化が中心的な役割を果たしています。これらの過程のうち、特に脱リン酸化に関わる酵素であるチロシンホスファターゼに着目して、それがどのようにして免疫細胞の機能を制御しているかを研究しています。