実験動物学にとって重要な項目は数多くありますが、その一つに3つのRから始まる3Rsの概念(Reduction:減数、Replacement:代替およびRefinement:苦痛軽減)があります。Reductionとは統計的手法などを用いて、実験に用いる動物数を可能な限り少なくすることであり、Replacementとは可能な限り下位な動物種、生物個体を用いない実験に置き換えることであり、Refinementとは技術の向上などにより動物へのストレスを可能な限り軽減することを意味します。当研究室では取り扱う研究のテーマについても3Rsの実践を意識した内容が多くなっています。例として「血液サンプルの代替としての唾液サンプルの研究」では血液サンプルを採取すると個体の犠牲を伴う小さなマウスのような動物でも、唾液の採取ならば個体を犠牲にすることなく実験が可能で、Reduction(使用動物数の削減)に貢献できることになります。また、Refinement(苦痛軽減)を考える上でストレス反応そのものを正しく評価する必要があり、ストレス反応を唾液サンプルで評価する研究も行っております。さらに苦痛軽減に重要な麻酔薬に関する研究として「麻酔による体温低下の緩和方法」についても研究テーマとして取り扱っています。これら3Rsに関与した内容以外にも脳内でのホルモンの働きを調べる神経内分泌学的なテーマや筋肉の炎症・再生過程を免疫組織化学的に検討するテーマでも研究を行っています。また、学科の所属学生に対し、日本実験動物協会が主催する実験動物技術者試験(1級)の実技試験対策の講習会を開催し、学生の資格取得に対する支援にも力を入れています。
▲研究室の同窓会にて