食品機能化学教室

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研究室紹介と研究内容

医食同源と言われるように、食生活は健康を維持するためにとても大切です。特に、畜産物の消費量の増加は、戦後の日本人の平均寿命を大幅に延ばした要因の1つであるといわれています。また、おいしい食べ物を食べるととても満足感が得られます。食品機能化学教室では、食品のもっている機能として、「健康維持に寄与する機能(保健機能)としてどのようなものがあるか?」また、それらの「おいしさがどのような要因で決まっているか?」について、明らかにする研究を行っています。

集合写真

教員紹介

江草愛助教
  • 氏 名:江草 愛 講師
  • 学 位:博士(農学)
  • 専門分野:食品化学、食品機能学
  • 担当科目:栄養化学・食品機能化学実験・食品科学概論実験(分担)・卒業論文
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)

卒業研究の指導方針

研究テーマに関する日々の実験を通じて、「課題の発見・設定・解決能力」を身につけます。具体的には、各人が、実験の組み立て、実験の実施、実験データの解析並びに次の課題設定を考える方法をマンツーマン形式で指導され、このサイクルを繰り返すことで、上記の各能力を養うことができます。また、研究室全体のセミナーでは、文献紹介を通じて、学生は食に関する幅広い知識を学ぶと同時に、「発表能力やディスカッション能力」を身につけることができます。

Close-Up「研究」

当研究室では、二つの大きなテーマに関して、機能性成分の探索、タンパク質の生化学的解析、機能成分のin vivo並びにin vitroでの評価を通して、新しい現象の発見並びにメカニズムの解明に取り組んでいます。

■ 保健機能に関するテーマ

<動物性タンパク質由来ペプチドの生体調節作用の解明>
ある種のタンパク質分解酵素を利用すると、アミノ酸からペプチドを合成することができます。酵素がどのような反応機構に基づいてペプチド合成を行なうのか、その仕組みの追究を通して、反応の特徴を明らかにしようとしています。また、そこで得られた知見を活かして、優れた味や新規機能性をもつペプチドの合成を検討し、収率の高い反応を目指しています。平行して、天然のタンパク質材料を酵素分解して生じるペプチド画分から、血圧低下作用、抗酸化作用などをもつ機能性ペプチドを取り出し、それらの構造と機能発現の相関を追究しています。

【図1】

【図1.ペプチドのアミノ酸側鎖の電荷が抗酸化作用に及ぼす影響】

<食肉におけるカルノシンとアンセリンの機能と変動因子の解析>
カルノシンとアンセリンは、抗酸化作用をはじめとする多くの機能を有することが明らかにされており、非常に注目されています。これらは、筋肉に多く含まれるジペプチドですが、その含量は、畜種や部位によってかなり異なっています。また、筋肉での機能は十分に解明されていません。そこで、筋肉におけるカルノシンとアンセリンの機能並びにその変動因子を明らかにする研究をおこなっています。

【図2】

【図2.品種の異なる鶏骨格筋中のアンセリンとカルノシン量の比較】

これらのテーマを行うために、それぞれの現象に寄与している物質を特定し、それぞれの寄与因子の構造を明らかにしています。また、動物実験や培養細胞でこれらの効果の検証並びに作用機序を生理学的に解明し、機能性食品素材の開発につなげる取り組みを行っています。

■ おいしさに関する研究テーマ

<味覚受容体を発現する細胞を使った「苦味」の客観評価系の確立>
おいしさは、味・香り・食感のほか、食経験や食環境など複雑な因子によって引き起こされる感覚です。味覚の中で、苦味はヒトにとって心的負担が大きいため、官能評価に代わる客観的代替法があれば、被験者の負担を軽減することが可能です。私達の研究室では苦味受容体を発現するヒトの肺細胞を用いて、各種苦味物質と細胞の応答について研究を行っています。

【図3】

【図3.味細胞モデルhSTC-1の苦味物質に対する応答】

【図4】

【図4.苦味抑制物質添加による味細胞モデルの応答低減】

これらのテーマを行うために、官能評価や機器を用いて、それぞれの現象に寄与している物質を特定し、それぞれの寄与因子の構造を明らかにしています。

学生のコメント

齋藤 岳樹(食品科学科4年次)

 本研究室では、「自ら考え、行動する力を養う」方針のものと、世界で誰も発見したことのない未知の研究内容について、各室員がその研究の第1人者になるという想いで日々の研究活動に励んでいます。未だ世に出ていないことを研究するため、自らテーマについて調べ、考察し、自主的に行動に移すことが求められます。勿論、先生方のバックアップもあり、実験方法や判らないことなどは、一緒に考えてくれます。
 私は、脊椎動物の骨格筋に高濃度で存在しているカルノシンと呼ばれる物質の生理機能について、マウスを用いて研究を行っています。研究の過程で失敗してしまうこともありますが、なぜ失敗したのかを分析し、改善した結果が次の成功に結び付いたときは、喜びと同時に自信にも繋がります。
 卒業時には、研究の手法だけでなく、今後社会人になる上でとても重要なスキルを身につけられるはずです。目的意識を持って学生生活を送りたい、自分をもっと成長させたいと考えている方は、是非この研究室で自分の可能性を広げてみてください。