食品機能化学教室

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研究室紹介と研究内容

医食同源と言われるように、食生活は健康を維持するための重要な営みです。食品機能化学教室では、食品の生理調節機能を見出し、その作用機構を明らかにすることによって、食による健康維持に貢献することを目指しています。特に、免疫・炎症反応や腸管の働きを調節する機能をもつ食品成分や、抗酸化活性、血圧低下作用をもつ食品成分などの研究を行っています。一方で、食べ物の重要な価値である「おいしさ」について、それがどのような要因で決まっているのかといった研究も行っています。これらの研究は、高機能・高品質食品の創製を可能にするものと考えています。

教員紹介

戸塚護教授
  • 氏 名:戸塚 護 教授
  • 学 位:博士(農学)
  • 専門分野:食品機能学、食品免疫学
  • 担当科目:
    食品機能化学、食品生理学、食品機能化学実験、食品科学基礎実験(分担)、
    食べ物の科学 入門(分担)、卒業論文
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)
江草愛助教
  • 氏 名:江草 愛 講師
  • 学 位:博士(農学)
  • 専門分野:食品化学、食品機能学
  • 担当科目:
    栄養化学、食品機能化学実験、食品科学基礎実験(分担)、食べ物の科学 入門(分担)、
    卒業論文
  • 研究者情報 (クリックで研究者情報ページへジャンプします)

Close-Up「研究」

本研究室では、食品の生理調節機能およびおいしさについて、下記のような観点から研究を行っています。

(1) 食品成分による免疫・炎症反応の調節

花粉症やぜんそく、食物アレルギーなどのアレルギー疾患に悩む人の数は、近年全世界的に増加し続けており、我が国では国民の約半数がなんらかのアレルギーをかかえる状況となっています。また一方、軽度の炎症が持続的に進行する反応である慢性炎症が、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、がん、認知症など、加齢に伴い増加する疾患の発症基盤となっていることが明らかとなってきました。

アレルギーや炎症反応はともに免疫系の反応によるものです。したがって、免疫機能を調節する食品成分は、アレルギーや生活習慣病など様々な疾患の発症予防に役立つことが期待され、QOLの向上、医療費増大の抑制などに大きく貢献するものと期待されています。

私たちは、免疫・炎症反応の抑制を担うリンパ球である制御性T細胞や制御性B細胞を分化誘導したり活性化する機能をもつ食品成分について研究をおこなっています。動物実験レベルではありますが、これまでに柑橘類に含まれるフラボノイドやプロバイオティクス(乳酸菌など)に制御性T細胞を誘導する機能があることを明らかにしています。また、抑制性サイトカインであるインターロイキン10を産生する制御性B細胞を誘導・活性化するフラボノイドも見出しており、これらの作用機構の解明を目指して研究を進めています。

(2) 腸管機能を調節する新しい機能性成分の探索と分子機構の解明

食品成分の消化・吸収・代謝を担う腸管は、体内で最も多くの免疫細胞をかかえる最大の免疫臓器でもあります。また、腸管には私たち自身がもつ細胞の数を大きく超える腸内細菌が共生しており、私たちの健康に様々な影響を与えていることが明らかにされてきています。

腸管免疫系には、摂取した食物や腸内共生菌に対しては過剰な免疫応答がおこらないような仕組み(経口免疫寛容)があり、プロバイオティクス(乳酸菌)にはその働きを強化する作用があることを私たちは見出しています。また、腸管粘膜からの外敵の侵入を防ぐ免疫グロブリンA(IgA)の産生を増強する働きをもつ食品成分、腸管での炎症を抑制する働きをもつ食品成分の研究も進めています。

一方、試験管内での初代培養が困難な腸管上皮細胞の培養株を樹立したり、幹細胞から作製するオルガノイド(臓器と似た立体構造体)を利用して、腸管機能を調節する新たな食品成分の探索やその分子機構の解明を目指した研究を行っています。

(3) カルノシンとアンセリンの機能と変動要因の解明

カルノシンとアンセリンは、抗酸化作用をはじめとする多くの機能を有することが明らかにされており、近年、特に注目されています。これらは、筋肉に多く含まれるジペプチドですが、その含量は、動物種や組織によって大きく異なっています。また、骨格筋や嗅球での機能は十分に解明されていません。そこで、骨格筋におけるカルノシンとアンセリンの機能並びにその変動因子を明らかにする研究を行っています。具体的には、カルノシンやアンセリンを合成する酵素が活性を持たないように遺伝子を改変した動物や、逆にカルノシンやアンセリンを多く発現するように遺伝子を組み込んだ培養細胞を用いて、これらジペプチドが存在しなかった場合の運動機能や、過剰に存在する場合のエネルギー代謝について検討を行っています。

(4) 地鶏の「おいしさ」に関わる因子の解明

地鶏は、日本在来種やそれを他の鶏を交配して作出された鶏をさし、日本農林規格(JAS)によって、血液百分率や飼育方法が定められています。成長が著しく早いブロイラーに比べ、長期間の飼育や遺伝的背景(筋線維や代謝の違い)の影響で、肉質や香りにそれぞれ特徴があります。現在、60品種を超える地鶏の「味わい」について、味・香り・食感の3要素から、官能評価と機器分析を組み合わせて分析を行っています。

学生からの一言

名倉 裕夏(食品科学科4年次)

 本研究室では、「自ら考え、行動する力を養う」方針のもと、各室員がその研究の第一人者となるべく、日々研究活動に励んでいます。
 私は、日本でも高齢者を中心に問題になっている低タンパク質栄養状態を改善すべく、マウスを用いて低アルブミン血症や低栄養性筋萎縮からの回復に効果的なタンパク源の探索を行っています。研究を遂行するために、国内外の文献を調べ、仮説を立証する実験を行うことは大変な労力を必要とします。しかし、先生方のサポートがあり、得られた結果をもとにディスカッションすることで、研究内容についてさらに理解を深めることができるため、とてもやりがいを感じています。また、ゼミでの文献紹介や研究発表を通してプレゼン能力を磨くこともできました。
 他にも、自分の研究課題だけでなく、他の室員の実験の手伝いを通して協力し合うことで、互いに切磋琢磨しあうことができます。私生活においても学年の壁を越えて仲が良く、笑いが絶えない研究室であり、楽しい毎日を過ごしています。
 目的意識を持って学生生活を送りたい、あるいは自分をもっと成長させたいと考えている方は、是非この研究室で自分の可能性を広げてください。