医食同源と言われるように、食生活は健康を維持するための重要な営みです。食品機能化学教室では、食品の生体調節機能を見出し、その作用機構を明らかにすることによって、食による健康維持に貢献することを目指しています。特に、食肉に着目し、抗酸化作用や認知機能改善効果を有する成分や加齢に伴う筋肉・筋力の低下を抑制する成分について研究を行っています。一方で、食べ物の重要な価値である「おいしさ」について、それがどのような要因で決まっているのかといった研究も行っています。これらの研究は、高機能・高品質食品の創製を可能にするものと考えています。
「お肉を食べて健康維持!」に繋がる成分を探索し、動物細胞や実験動物を使った評価を行います。
本研究室では、食品の生理調節機能およびおいしさについて、下記のような観点から研究を行っています。
カルノシンとアンセリンは、抗酸化作用をはじめとする多くの機能を有することが明らかにされており、近年、特に注目されています。これらは、筋肉に多く含まれるジペプチドですが、その含量は、動物種や組織によって大きく異なっています。また、骨格筋や嗅球での機能は十分に解明されていません。そこで、骨格筋におけるカルノシンとアンセリンの機能並びにその変動因子を明らかにする研究を行っています。具体的には、カルノシンやアンセリンを合成する酵素が活性を持たないように遺伝子を改変した動物や、逆にカルノシンやアンセリンを多く発現するように遺伝子を組み込んだ培養細胞を用いて、これらジペプチドが存在しなかった場合の運動機能や、過剰に存在する場合のエネルギー代謝について検討を行っています。
高齢化社会の日本では、80歳以上の2割が低タンパク質栄養に陥っていると報告されています。牛肉・豚肉、鶏肉をはじめとする食肉は必須アミノ酸のバランスが良く、さらに生理活性を示す内因性ペプチドを含んでいます。そこで、食肉摂取と生体の機能維持の関係を明らかにするため、90週齢までの高齢マウスを用い、運動能力や骨格筋の状態、モチベーションについて調べ、食肉摂取と健康寿命(活動性が高い状態)について研究を進めています。
地鶏は、日本在来種やそれを他の鶏を交配して作出された鶏をさし、日本農林規格(JAS)によって、血液百分率や飼育方法が定められています。成長が著しく早いブロイラーに比べ、長期間の飼育や遺伝的背景(筋線維や代謝の違い)の影響で、肉質や香りにそれぞれ特徴があります。現在、60品種を超える地鶏の「味わい」について、味・香り・食感の3要素から、官能評価と機器分析を組み合わせて分析を行っています。
本研究室では、「自ら考え、行動する力を養う」方針のもと、各室員がその研究の第一人者となるべく、日々研究活動に励んでいます。
私は、「光刺激がニホンウズラの骨格筋とカルノシン合成に及ぼす影響」というテーマで卒業論文に取り組んでいます。研究を遂行するために、国内外の文献を調べたり、仮説を立証する実験を行っており、日々大変な努力を積み重ねています。しかし、先生のサポートがあり、得られた結果をもとにディスカッションすることで、研究内容について理解を深められるので、とてもやりがいを感じています。また、ゼミでの文献紹介や研究発表を通してプレゼン能力を磨き、学会発表に繋げることが出来ました。
さらに、自分の研究課題だけでなく、他の室員の実験の協力を通して、互いに切磋琢磨しあっています。研究室では学年の壁を越えて仲が良く、笑いが絶えない楽しい毎日を過ごしています。
目的意識を持って学生生活を送りたい、あるいは自分をもっと成長させたいと考えている方は、是非この研究室で自分の可能性を広げてください。