[概要] 獣医臨床病理学研究室は教員4名、大学院生2名、学部学生22名、研究生/研修生2名の総勢30名で構成されています。学部学生は3年次から研究室に入室し、動物の飼育管理、検査に必要な基礎的な技術などを修得します。4年次からは各自の興味に従い、上級生について実験およびデータの分析を開始します。卒論では実験のテーマに沿ってじっくりと物事を考えることや、科学的な論文の書き方を学びます。毎週開かれるゼミでは研究経過報告および研究テーマに関連した論文や先端獣医療や人医療のトピックスなどの論文を各自選んで抄読会を行っています。大学院生はそれぞれの研究テーマを深く掘り下げ、学位論文を完成するため日夜研究に励んでいます。また、大学院生は本学付属動物医療センターにおいて、腫瘍外来の診療や標本の評価なども行っています。学部学生・大学院生には、新たな獣医療に挑戦する楽しさを実感してもらい、また幾多の学術的試行錯誤を経験することで理論的な思考力と独創的な発想力を身につけてもらいたいと考えています。
[研究] 臨床病理学研究室では、腫瘍性疾患など難治性疾患の病態生理の解明と、その分子基盤に基づいた高度医療の開発を目指して研究を進めています。近年の分子生物学的技術の飛躍的な発展に伴い、獣医療にもその技術が応用されつつあります。臨床病理学研究室では、癌の遺伝子診断、癌における特定の分子機構を狙った分子標的療法の開発、さらに免疫担当細胞やDNAを用いた癌免疫療法の開発など幅広く研究を展開しています。
[診療] 臨床病理学研究室の教員は、付属動物医療センターの腫瘍科および検査部門を担当しています。学生には授業・実習のない時間(特に長期休暇中)は外来に参加するように指示し、飼主との対応から診断・治療まで、実践的な臨床のプロセスを学ぶように指導しています。また、検査・診断に用いた多数の血液塗抹標本や細胞診標本などは学習材料として研究室で利用できるようにしています。
獣医臨床病理学研究室は室員同士の仲が良く、和気あいあいとした雰囲気です。臨床・研究ともに力を入れ、入室後の早い時期から付属動物医療センター腫瘍科の診療活動に参加したり、研究室および学内共同施設において研究活動を行ったりしています。また、自ら積極的に行動する学生が多く、学生が主体となって勉強会やゼミ合宿を開催し、学び合いながら専門的な知識の習得に取り組んでいます。そして、研究室活動を通して各々が自身の希望する進路を選択し、卒業生は小動物臨床、大動物臨床、公務員、企業就職、大学院進学など多方面で活躍しています。