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獣医内科学研究室第二 Research and faculty introduction

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日本獣医生命科学大学

研究室紹介と研究内容

 私たちの研究室は、竹村直行教授、宮川優一講師の2名の教員に加え、学部学生27名と人数もだんだんと増えてきています。教員と学生がコミュニケーションを取る機会も多く、和気あいあいと話しやすい環境で、研究、勉強を精力的に行っています。
 私たちの研究室が扱う分野は犬および猫の心臓病、腎臓病です。どちらも高齢の動物で発症しやすく、治ることのない慢性疾患です。獣医療や栄養学が発展し、犬や猫の寿命が延びていますが、その反面こういった完治させることができない病気が増えてきています。このような病気を発症させないことが理想的ですが、なかなか難しいのが現状です。そのため、病気を早く発見し、治療することが重要です。治療はその疾患の進行を遅らせる、つまり長生きさせることに焦点を当てています。治療によって長生きするためには、より早く発見し、治療を開始することが重要です。そこで、私たちの研究室の研究テーマは、心臓病や腎臓病の早期診断法の検討、より簡単な検査で病気を発見できるような血液検査、尿検査の検討を中心としています。もちろん、新しい治療法の評価、従来の治療法の再検討といった研究も行っています。
 当研究室では、研究だけではなく、研究室で飼育する動物の管理、ゼミ、動物医療センターでの診療、そして診療後のカンファレンスに参加するよって勉強する機会を作っています。この研究室が冠している「内科」とは、外科のような派手さはなく地味な分野ですが、根気よく丁寧に患者と向き合い、犬や猫ができる限り幸せに生きてもらうために全力を尽くすことが本分であると思います。学生には「内科」の面白さ、そして難しさを知ってもらいたいと考えています。また、心臓や腎臓は単独で存在しているわけではなく、全てが血管、神経、体液を通じて繋がっています。心臓と腎臓は深い関係を持ち、心臓が悪くなれば腎臓も悪くなり、逆もまた然りです。しかし、心臓病に対する治療は腎臓病を悪化させ、腎臓病に対する治療は心臓病に負担をかけてしまうこともあります。このジレンマは心臓、腎臓だけでなく、多くの病気で生じます。動物をパーツではなく、全体から診て、考え、治療していくことが重要です。そのためには、内科学だけでなく、生理学、病理学、薬理学といった基礎を十分に理解しなければなりません。そういった意味でも「内科」は難しくも、面白いと感じていただきたいと思っています。
 卒業生の多くは小動物臨床、つまり動物病院での勤務医に就職しています。しかし、企業や公務員に興味を持つ学生も在籍しています。内科という小動物臨床の研究室ですので、どうしても勉強する内容は偏ってしまいますが、小動物臨床の一端を勉強し、体験することで臨床の面白さ、難しさを感じて欲しいと思っています。臨床現場で働く多くの獣医師の先生、動物医薬品やペットフード会社で働く先輩方とも話す機会があります。様々な業界の人と積極的に話すことが、将来の進路を決める役に立つと思います。

教員紹介

竹村先生
  • 氏 名竹村 直行
  • 役 職教授
  • 学 位獣医学博士
  • 専門分野獣医循環器内科、獣医腎臓内科
研究者情報
宮川先生
  • 氏 名宮川 優一
  • 役 職講師
  • 学 位博士(獣医学)
  • 専門分野獣医腎臓内科、獣医循環器内科
研究者情報

Close-Up「研究」

「肥大型心筋症に罹患したネコにおける血漿中N末端proB型ナトリウム利尿ペプチド濃度の診断的意義の検討」

 猫の心臓病で最も多いのが「肥大型心筋症」という病気です。この病気は血液を全身に送るポンプの役割を果たしている心臓の筋肉が異常に厚くなってしまい(心筋肥大といいます)、心臓の部屋の中に十分な血液が入れられず、血液を送り出せなくなってしまうという病気です(図1)。この病気にかかった猫は重度の心筋肥大を起こし、疲れやすい・呼吸が苦しいといった症状を示すまで発見されないことが多いです。それは、症状がない段階での早期の肥大型心筋症は聴診・X線検査といった日常的に行われている簡単な検査では見つからず、発見が遅れてしまうためです。そこで、血液の中に存在し、人や犬でも使われている心臓病を発見する指標であるN末端proB型ナトリウム利尿ペプチドというホルモンに着目しました。健康な猫と比較して、症状はないけども肥大型心筋症がある猫では、明らかにN末端proB型ナトリウム利尿ペプチドの血液中の濃度が高いことが発見されました。

学生からの一言

七條 紗季 (獣医学科4年次)

七條 紗季

 犬や猫の寿命が長くなり、高齢で起こる病気が増加している中、この研究室では犬や猫が亡くなってしまう原因の上位である心臓病や腎臓病の研究をしています。ペットの高齢化に伴って増えているこれらの慢性疾患は治ることがないため、ご家族の方と一緒に、長い間信頼関係を持って向き合っていくことが重要であると思います。私たちは病院に出て先生方の診察を拝見することで、治療方針だけでなく、ご家族と共に病気に向き合う姿を見て「動物」だけでなく、「人」と十分なコミュニケーションを取るということの重要性も学んでいます。また、海外で発表された英語で書かれた研究論文を熟読して、みんなの前で発表したり、診療後のカンファレンスを通じて学生同士でも意見交換をし、お互いの知識の向上に取り組んでいます。