寄生虫はウイルスや細菌と同様に病原体の中に含まれます。しかし、ウイルスが粒子そして細菌が原核生物であるのに対し、寄生虫は真核生物であることがこれらと異なる点です。寄生虫は単細胞の原虫類、多細胞の蠕虫類、そしてノミやダニ等の節足動物など幅広い動物から構成されています。寄生虫の研究は形態観察や分類などから免疫学まで幅広い分野をカバーしなければなりません。さらに寄生虫はウイルスや細菌と異なり、多くの寄生虫がそれぞれ特有のライフサイクル(生活環)を持っています。そのためその予防および治療はとても難しいのです。
本研究室では、これら寄生虫に対するワクチンによる予防法および抗体医薬による診断・予防・治療法の研究を行っています。ターゲットとしているのは牛の死流産や子犬の神経・筋疾患を引き起こすNeospora caninum原虫に対する予防および治療法の研究で、予防法としては注射剤としての通常のワクチン、植物性の藻類を用いた食べるワクチンの研究を、さらに治療法として抗体医薬の研究を行っています。
獣医寄生虫研究室では、ネオスポラという寄生虫に対する組換え抗原を作製し、最終的にワクチンを作る研究、ミドリムシやあった食べるワクチンの研究、豚浮腫病の病原因子に関する研究、免疫効果を高めるアジュバンドの研究といった仕事に分かれて研究を行っています。